長距離ドライバー不足で、地方の名産品が食べられない? 今こそ考えるべき危機解決の「五つの処方箋」とは
「ダブル連結トラック」という手段

大型トラックの後ろにトレーラーをつなぐことで、ドライバーひとりでの輸送量を約2倍に増やせる「ダブル連結トラック」の活用拡大を図ることも一考である。
国土交通省は、2022年11月8日にダブル連結トラックの通行経路を従来の2050kmから5140kmに拡充するなど、普及を後押ししている。今後、活用が広がれば、長距離の輸送能力を増強できるはずだ。モーダルシフト(貨物輸送の手段をトラックから鉄道・海運などへの転換)も同様の効果がある。トラックと比べてひとりあたりの輸送量が多いからである。
・積載率の向上
・ダブル連結トラックの活用
・モーダルシフト
などによりひとりの人間による「時間あたりの運べる量を増やす」ことができれば、現在の輸送量を維持するために必要な人の数を減らせる。2024年問題への対応に有効な施策といってよいだろう。
●E.運ぶ量を減らす
地産地消が広がれば、その分だけ運ぶ量は減る。3R(リデュース/リユース/リサイクル)が進めば、新品の購入が減る。製造・流通過程での食品ロスは年間200万t近くあるが、需要予測の精度が高まれば、ムダな廃棄だけではなく、最終的に捨てられる食品の輸送も減る。アパレル業界では、売れ残った衣料品の廃棄が問題になっているが、オーダーメードのスーツのように受注生産になれば、作りすぎることも、廃棄することも、店舗までの輸送も減る。
つまり、製造から販売・消費までのムダが解消されれば、「運ぶ量を減らす」ことが可能だ。輸送や製造に要するCO2の排出量や廃棄コストの軽減にも資することを考えると、社会全体のサステナビリティを高める効果もある。
ただし、その対象となる商品は限られる。すべてのムダを完全に解消することも難しい。「運ぶ量を減らす」取り組みは重要だが、2024年問題の解決にどこまで有効かと問われると、いささか心もとないといわざるを得ない。