航空業界を悩ます「パイロット不足」 需要急回復で問題再燃、かつては中国による引き抜きも
パイロット不足にふたつの処方箋

パイロット不足の問題に対して、さまざまな取り組みが行われてきたことは確かだが、こちらもコロナ禍で大きな影響を受け、滞りを見せたことは否めない。では、今後どうすれば、パイロット不足に対処できるだろうか。
ひとつは、「機体の大型化によって輸送効率を高める」ことだ。昨今は中小型機が主流となっているため、時代の流れには逆行するが、羽田空港といった主要空港の発着枠が足りなくなっていることを鑑みれば、機材の大型化を改めて検討することも必要かもしれない。もちろんその場合は、需要の閑散期において「大型機をどのように満席にするか」という極めて難しいマーケティング問題も存在する。
もうひとつは、「コックピットをひとり体制にする」ことだ。現在は機長と副操縦士のふたり体制だが、これを機長だけにするのだ。航空機の初期段階、コックピットには5人の乗務員がいた。機長と副操縦士のほか、
・航空機関士
・航空通信使
・航空士
である。これが通信技術の発展などで、現在のふたり体制になったのだ。筆者が日本航空に勤務していたころ、ちょうど機長、副操縦士、航空機関士の3人体制からふたり体制に移行しようとしているときで、コックピット側から猛烈な抵抗運動があったことを記憶している。
今や、小惑星探査機「はやぶさ」がはるか遠くの天体に向かい、無事に帰還する時代だ。鉄道分野は運転の無人化が進み、丸ノ内線ではいち早くワンマン運転も実施された(2004年)。空よりはるかに複雑な地上交通でも自動運転化が現実のものとなっており、当の航空運航でも自動操縦技術がすでに実用化されている。
そうであるなら、コックピットもひとり体制でいいのではないか。そうすればパイロット不足の問題はかなり軽減される。人工知能(AI)技術も発達しているため、地上からのサポート体制がしっかりしていれば可能ではないのか。
こうした問いを有名な元機長にぶつけたところ、安全上問題があり、それでもひとり体制を実現しようとするなら、安全性確保のするため、相当の追加投資が必要となり、会社としては採算が合わないだろうとの見解だった。
筆者にとっては、正直いって結論の出ない問題である。皆さんはいかがお考えだろうか。ご教示を願いたい。