激化するLCC戦争 もはや安いだけじゃ話にならぬ、差別化のカギは「ほどよい客」か

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LCCの数は日本でもこの10年あまりで増えた。利用客にとって、航空券が安いだけではなく、大手航空会社と「使い分け」できるメリットも大きい。

この10年で増えたLCC

ZIPAIR Tokyo(ジップエア)はボーイング787での運航(画像:シカマアキ)
ZIPAIR Tokyo(ジップエア)はボーイング787での運航(画像:シカマアキ)

 格安航空会社(LCC、ローコストキャリア)といえば、運賃の安さが売りだ。一方、安い分、大手航空会社(レガシーキャリア)と比べてサービス内容が簡素だったり、欠航時などのサポートが充実していなかったりする。

 LCC利用時にトラブルが起きた際は大変だが、何事もなければ、リーズナブルに飛行機で移動できるありがたい存在である。

 LCCの数は海外、そして日本でもこの10年あまりで増えた。利用客にとって、航空券が安いだけではなく、大手航空会社と「使い分け」できるメリットも大きい。

 かつては「大手vsLCC」の構図が定番だったが、いまやLCCの数が増え、LCC同士で顧客獲得に競い合っている。そんなLCCのなかでも、運賃を抑えつつ、提供サービスを充実させて“差別化”を図る航空会社も出てきた。

日系LCCは現在4社

LCC「ジェットスター」の手荷物に関する案内(画像:シカマアキ)
LCC「ジェットスター」の手荷物に関する案内(画像:シカマアキ)

 日本における国内線LCCは、

「ピーチ・アビエーション」(peach)
「ジェットスター・ジャパン」(ジェットスター)
「スプリング・ジャパン」(旧・春秋航空日本)

である。

 かつては、2度登場して2度とも消滅したエアアジア・ジャパン、peachと経営統合したバニラ・エアもあった。国際線には現在、上のLCC3社に加えて「ZIPAIR Tokyo」(ジップエア)がある。

 Peachは2012年3月、ジェットスターは同年7月に運航開始。両社とも運賃が安い代わりに、

・座席指定有料
・預け手荷物1個から有料
・機内持ち込み手荷物7kgまで
・機内食や機内ドリンクは有料

など、提供サービスを利用客に「追加オプション」として販売している。この手法は、LCCの先駆け的存在である欧州のライアンエアーやeasyJet(イージージェット)なども同様で、典型的なLCCビジネスといえる。しかも、両社の使用機材はフランス・エアバス社のA320シリーズ。これもLCCで定番の機材だ。

 ただ、peachとジェットスターがまったく同じサービス内容というわけではない。例えば、ジェットスターは成田空港にある鉄道駅からやや離れたLCC専用「第3ターミナル」を供用開始以来、ずっと使っているが、peachは現在、母体であるANAが利用する第1ターミナルを使っている。一方、関西空港では、ジェットスターが鉄道駅などに近くて便利な第1ターミナル、peachがLCC専用の第2ターミナルを使っている。

 機内持ち込み手荷物も、ジェットスターが7kgに加えて、さらに7kgを追加で持ち込めるオプションを販売しているのに対し、peachは7kgのみ。ちなみに、Peachは就航当初からしばらく、LCC他社より多い「機内持ち込み手荷物10kg」が売りだった。

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