わずか5年で引退! 鹿児島「電気バス」に見る、深刻な車両問題と普及への高いハードル

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鹿児島県の薩摩川内市の電気バス「こしきバス」が引退した。いったいなぜか。また、電気バスの未来は今後どうなるのか。

地元企業も注力

EVモーターズ・ジャパンのウェブサイト(画像:EVモーターズ・ジャパン)
EVモーターズ・ジャパンのウェブサイト(画像:EVモーターズ・ジャパン)

 さらに北九州市ではベンチャー企業のEVモーターズ・ジャパンが国内初の商用電気自動車の量産工場建設を進めており、2023年にも稼働する予定だ。同社はこれまで、中国メーカーに生産を委託していたが、今後は生産拠点を国内に切り替える方針だ。

 電気バスは開発途上であることから、これまでトラブルに対応するノウハウが蓄積されていなかった。需要もまだ限られるため、部品のコストも高くつき、CO2削減効果も疑問視されていた。

 2022年に入り、関東自動車が宇都宮市の路線バスの半数以上を、2030年までに電気バスに置き換えることを発表するなど、需要はようやく伸び始めている。そのため、今回のようないくつかの失敗事例から、電気バスを否定するのは早計だ。

 また、

「海外製の電気バスだから失敗した」

と考えるのも大間違いだろう。これまで、日本でディーゼルバスに代わる本命と見られてきたのは水素バスだ。ところが今、世界市場では電気バスが完全に優位となり、中国と欧州メーカーが市場を席巻している。2021年12月に京都市と京阪バスが導入したのも中国製だった。2022年4月に大阪府で阪急バスが導入したのも同様だ。

 そもそも、電気バスは普及するのだろうか。調達を輸入に頼るのか、国内生産を強化するのか、選択肢は山積みだ。簡単に答えは出ない。ただ、導入は積極的に進めるべきだろう。失敗を恐れてはいけない。

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