お召し列車としても有名 「E655系」はなぜ多客期の臨時列車として運転されないのか?
「E655系電車」とは何か

JR東日本は2007(平成19)年、お召し列車(天皇、皇后、または皇太子の乗用車両)としても使用する交直流両用の特急形電車・E655系電車を1編成導入した。5両編成を基本とするが、皇族などが乗車する「特別車両」が1両在籍している。この電車は「なごみ(和)」の愛称を持つ。
筆者(堀内重人、運輸評論家)は2022年9月24日、鉄道開業150周年を記念して、盛岡から上野まで、なごみを使った団体列車が運転されたため、そのツアーに参加して乗車した。
かつて、天皇・皇后を始めとする皇族の乗用車両としては、昭和初期から中期までに製造されたお召し列車用の客車が使用されてきた。だが製造から40~70年が経過し、老朽化が進行。その置き換え用として、E655系電車が製造された。
登場の背景

E655系電車は、平素は皇族や国賓などの要人が利用する特別車両を外している。「ハイグレード車両」と呼ばれる5両編成とすることで、お召し列車だけでなく、団体専用列車としての役割も兼ね備えている。そのため、全車両がグリーン車となった。
グリーン料金は、JR九州で運転される「36ぷらす3」のような割高に設定された料金にはなっていない。運賃・特急料金に加え、グリーン料金の合計した金額で計算される。
ただし、E655系なごみは団体専用列車として運行されるため、乗車するには運賃・特急料金・グリーン料金以外に、
・企画料
・旅行業務取扱料
などの諸経費も加えた、ツアー料金が必要となる。また、3号車には「VIP席」と呼ばれる本革張りの豪華な座席が9席ある。
ここに乗車するには、距離に関係なく一律に5000円が別途必要となる。それ以外に、3号車には政府要人などが乗車する個室があるが、一般には販売されない。また筆者が参加したツアーでは使用されていなかったが、飲食物や記念グッズを販売するサービスコーナーも完備している。
なごみという愛称には、「ご乗車される全てのお客さまになごんでいただきたい」という思いが込められている。