航空各社がエコノミーでもビジネスでもない「プレミアムエコノミー」にこぞって注力するワケ
価格差をどう見るか

成田―フランクフルト線を例にとると、時期によって変動するものの、JALの正規料金は
・ビジネス:72万2960円
・プレミアムエコノミー:39万7960円
・エコノミー:22万7960円
となっている。同日ほぼ同時刻のANAは
・ビジネス:81万7440円
・プレミアムエコノミー:52万1450円
・エコノミー:27万9950円
と、JAL・ANAともに、三つのクラスの価格差はエコノミーと比較して、プレミアムエコノミーで約2倍、ビジネスで約3倍だ(ともに燃油特別付加運賃込み)。
この価格を「ビジネスより安い」と見るか、「エコノミーより高い」と見るかは、フライト時間、機内での過ごし方などによる。ただ、快適な座席のおかげでしっかりと休息することができれば、仕事に集中できる。また、時間のフライトでも体への負担はだいぶ少ない。企業にとっても、ビジネスを利用した際に比べて、大幅なコスト削減になる。
航空会社にとっても費用対効果は高い。座席面積はビジネスほどではなく、ラウンジや優先カウンター以外の機内サービスなどはエコノミー寄りだ。その一方、エコノミーの約2倍の収益がある。航空会社にとっては、まさにありがたいクラスなのだ。
「もう少しだけ快適に」というニーズ

プレミアムエコノミーは航空会社にとっても、乗客にとってもコストパフォーマンスが良い。そのため、限られた機材や機体面積を最大限に利用した巧みな戦略と言えるだろう。両クラスの価格とサービスの良いとこどりをしたプレミアムエコノミーは、エコノミー利用客の
「もう少しだけ快適に過ごしたい」
という需要にピンポイントで応えている。ただ、エコノミーからの顧客獲得が期待できる一方、上級クラスであるビジネスの顧客を失ってしまうリスクもある。
それでも、世界中のエアラインがこぞってプレミアムエコノミーを新設するのは、プレミアムエコノミーへの流出よりも、
「ビジネスからエコノミーへの流出を食い止めるため」
という背景が見え隠れしている。
一部の航空会社では、既にファーストクラスをなくし、ビジネスを最上位クラスにしている路線もある。ひと昔前まで、飛行機の旅はラグジュアリーなものだったが、格安航空会社(LCC)の台頭などで、より身近で手軽な移動手段に変化した。
豪華なクラスが少しずつ消えていくことは少し寂しいが、これも時代の流れだろう。時代のトレンドは、いまやビジネス・プレミアムエコノミー・エコノミーなのだ。