交通事故でおなじみの「レッカー車」が、災害時の緊急車両として全然浸透しないワケ
レッカー車は故障や事故で動かなくなった車両を運ぶだけではない。災害時における被災地住民の「救世主」でもあるのだ。
免許制度や教育制度の整備を

2014年11月、災害対策基本法が一部改正された。大規模な災害発生時に緊急通行車両の必要があると認められたときは、道路管理者が車両などを移動できるという規定が盛り込まれた。レッカー・ロードサービス事業者は車両移動を実際に行う者として、その期待は大きい。
また、これは災害時に限ったことではない。高速道路や一般道路で、故障や事故車両を安全かつ迅速に排除するためには、 さまざまな車両を対象として、知識と技術を日々磨いていかなければならない。レッカー・ロードサービス事業者が国民の信頼を得るためにも、国が中心となって、免許制度や教育制度を整備しなければならない。
自然災害はいつ降りかかってくるか、誰にもわからない。繰り返しになるが、被害を最小限にとどめるには、レッカー車がスムーズ活動できる土台を早急に作らなければならない。社会活動を円滑にし、かけがえのない命を守るために、彼らが「道路啓開(けいかい)業(障害物、危険物などを取り除いて進行を可能にすること)」を担う大きな存在であることを、われわれも認識すべきだろう。