国鉄時代の大借金、いまだ完済されず! そして今度はローカル廃線問題、次の負担先はいったいどこだ?
1966年以降、民営化まで一貫して赤字
国土交通省が、赤字ローカル線の廃止・バス転換に向けた議論を後押ししている。この動きのなか、改めて注目されているのが、国が鉄道に割く予算の少なさと残された国鉄債務の問題だ。
国土交通省(国交省)で鉄道を扱うのは鉄道局である。そこに毎年割り当てられる予算は、約1000億円。国交省全体予算の2%程度だ。道路関係予算は年間約1.7兆円規模で、全体予算の30%を占めているのに比べると、圧倒的に少ない。
この1000億円のうち、約800億円は整備新幹線(北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線鹿児島ルート、九州新幹線長崎ルート)の建設費に割り当てられるため、残された予算は200億円程度。JR東日本が7月28日に公表した2019年度のローカル線赤字額は、
「約698億円」
である。
もしも、国が赤字ローカル線の維持に介入するならば、大幅な予算の増額が必要なのはいうまでもない。
鉄道局の予算額が限られているのは、国鉄に巨額債務があるからだ。国鉄は1949(昭和24)年6月、国営から独立採算制の公共企業体「日本国有鉄道」として発足した。発足当初は大規模な人員整理などで混乱したが、輸送力の回復、車両・施設の更新によって、経営環境は回復。運賃で十分に利益をあげる優れた公共企業体となった。
しかし、東海道新幹線が開通した1964年頃から経営は悪化し始めた。モータリゼーションの発達により自動車や航空機との競争が激化し、また人件費が増大。さらに、国が運賃だけでは利益の見込めない新線の建設を推し進めたことが原因だった。
結果、東海道新幹線の開通が華々しく行われた1964年度には8300億円の赤字に。1964年度と1965年度はそれまでの繰越金で補填したものの、1966年は赤字に転落。以降、分割民営化まで一貫して赤字が続いた。