ドイツ脱線事故で4人死亡 元鉄道技術者が改めて感じた「プッシュプル列車」の構造的危険性
2022年6月3日正午過ぎ、ドイツ南部バイエルン州のガルミッシュ・パルテンキルヒェン付近で、乗客約60人を乗せたミュンヘン行きのドイツ鉄道の快速列車が脱線した。9ユーロチケット施策におよぼす影響はあるのか。
ドイツで発生した列車脱線事故の概要
2022年6月3日正午過ぎ、ドイツ南部バイエルン州のガルミッシュ・パルテンキルヒェン付近で、乗客約60人を乗せたミュンヘン行きのドイツ鉄道の快速列車が脱線した。6月5日時点で、この事故により5人が死亡し、40人以上が負傷したと伝えられている。原因究明が行われている最中だが、新聞報道や手元の資料を元に、今回の列車脱線事故や過去にドイツで発生した列車事故、および今回の事故の9ユーロチケットへの影響を考察する。
RB59458列車は、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン駅をミュンヘンに向かって出発した後、およそ3km先で脱線した。現場は、単線のミュンヘンに向かって緩やかな左カーブであり、ドイツ連邦道路B2が、小川を挟んで並走している。
この事故で、2両目と3両目の客車が進行方向右側に横転し、4両目の客車は横転していないものの、進行方向右側の土手の下り斜面にはじき出された。
6月9日、地元警察当局ならびに連邦鉄道事故調査局(BEU)により、事故原因の調査が進められている。調査にはかなりの時間を要する見通しであるとともに、線路の復旧ならびに開通のめどはたっていない。
なお、報道によると、当該列車の運行記録装置において、速度超過の形跡は認められていないとのことだ。