EV界の黒船来航! 中国「BYD」の圧倒的な市場占有、「日本もやる気になれば作れる」なんて言ってる暇あるのか
BYDが本気で日本市場に殴り込み
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は、2023年1月から日本でEVを販売することを発表した。同時に、販売会社となるBYDオートジャパンを設立し、2025年までに100店舗規模の販売ネットワークを整備する計画も発表されている。
日本で販売する車両は、BYDにおける最新世代のEV3車種。最初に導入されるのは、BYDの世界戦略車であるミドルサイズのスポーツタイプ多目的車(SUV)「ATTO 3」、続いて2023年半ばには、Dセグメント(いわゆるゴルフサイズ)ど真ん中のハッチバック「ドルフィン」が導入され、そして中国でもまだ発売されたばかり、デリバリーもこれからという高級セダン「シール」を2023年の下半期に導入する。
BYDはEV専業メーカーではないが、数年前から新エネルギー車(中国におけるカテゴライズでEV/PHEV/FCVのこと)の販売台数世界一ということで世界でも知られるようになった中国の民営系メーカーだ。
2023年に入ってからBYDの勢いはさらに増しており、上半期のBEVの販売台数は、2022年の2倍のペースにあたる32万台を販売している。BEV販売台数で世界一のテスラは同時期に56万台を販売しており、確かにまだ差はあるが、テスラに対抗しうるメーカーとして注目を集めている。
中国のEV市場は世界でも圧倒的な大きさ
とは言え、BYDのメインマーケットは中国である。世界基準での品質はどうなんだという懸念もあるだろう。日米欧韓のおなじみの大手メーカーであれば、信頼性、安全性、そして企業としての姿勢など、これまでの実績の積み上げがあり、メーカーとしてある程度信用できる、という安心感は確かにある。
ただ一方で、EVという基準では、中国は厳然たる世界最大の市場であり、EVのブランドが40近くあるなか、BYDは圧倒的な勝者として、2023年も2倍のペースで販売台数を伸ばしているのだ。
ここで、中国の市場の大きさを数字で見てみよう。中国におけるBEV+PHEVの販売は、2023年に入って、中国自動車市場全体の20%を占めるまでに成長しており、市場規模は600万台に達するという予測がある。BEVはそのうちの5~6割を占めると見られる。
次いで大きいのは欧州市場だが、BEV+PHEVは市場の約20%となり、2023年の市場規模としてはおよそ300万台前後と見られる。中国の半分程度の規模感だ。こちらもBEVはそのうちの6割前後だろう。
そしてアメリカは、テスラが非常に売れているという印象があるものの、BEV+PHEVの比率は2023年に入っても10%に満たず、市場規模としても200万台に満たない。このうちBEVは7割前後と見られる。