「電力不足なのにEV増やすな」がどう見ても暴論すぎるワケ
世界を追いかける国内EV市場
2021年の世界の新車販売に占める電気自動車(EV)の割合は約8.3%で、2020年の約4.2%と比べると、わずか1年で2倍近くまで成長した。さらに2022年の4月までの累計では約11%に達し、2021年の同期間の約5.7%と比べると、引き続き2倍近くの成長を続けている(本記事では特筆なき場合、EVはバッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の両方を指す)。
2021年までは、欧州や中国などの海外がEV市場の成長をけん引していたが、2022年に入り、日本国内でも世界を追いかけるようにEVが増えている。2021年の5月までの累計は約0.9%と低迷していたシェアも、2022年の同期間では約1.9%に増え、世界と同様わずか1年で2倍以上の成長を記録した。
さらに2022年5月に発売した日産サクラ・三菱eKクロスEVは、発表からわずか3週間で合計1万4000台以上を受注。2021年の国内の新車販売台数は約368万台であり、仮に2022年も同等の販売台数であれば、これだけで年間のEVシェアを約0.4%上昇させる計算になる。まだ世界から見ると少ないとはいえ、日本国内でもEVのシェアが増加していることは確かだ。
日本国内でもシェアが増加している理由としては、「補助金の増額」「車種の増加」など、複数の理由が関係していると思われるが、筆者(八重さくら、環境系VTuber)は何よりも
・安い維持費(ガソリン価格の高騰と相まって)
・高い利便性
・扱いやすさ
といったEVのメリットへの理解が、メーカーやメディア、SNSなどを通じて徐々に広まってきたためだと考えている。
本記事では改めてこれらのEVならではのメリット、そしてEVの普及による夏・冬に懸念されている電力不足への影響について解説する。
以下のようなEVに関する課題は、以前の記事「EVアンチをついに論破? もはや爆速普及が否定できない「8つの根拠」」(2022年6月5日配信)で検証しており、あわせて参照されたい。
・電池の製造や発電による二酸化炭素(CO2)の排出が多い
・寒さや雪に弱い
・災害に弱い
・充電に伴う電力不足
・電池の劣化・交換費用が高い
・感電、火災の危険性
・経済性