15日発表の東武新型特急スペーシアX 特別料金「ゆとり車両」にあった問題点とは
課題と注目点とは

東武鉄道側が課題としてあげたのは、カフェカウンターが1号車に設けているため、特別座席料金が適用される5号車ボックスシート、6号車コンパートメントの乗客にとっては、「御足労」になってしまうこと。また、スタンダードシート、プレミアムシートと異なり、「ゆとり強調、重視の場」のため、5・6号車から1号車に移動するだけでも「遠距離」となる。
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かつて小田急電鉄の特急ロマンスカーでは、乗客が商品を注文すると販売員が座席まで届けてくれる「オーダーエントリーシステム」によるデリバリーサービスが行われていた。そのため、5号車ボックスシート、6号車コンパートメントの乗客限定で導入という手もある。
ただ、仮に一斉に注文が入ると、人手が足りなくなる恐れも。これだけ贅(ぜい)を尽くした車両なのだから、デビュー前までに完璧なサービスマニュアルを作り上げ、N100系SPACIA Xのリピーターをひとりでも多く増やしたいところだ。
将来、100系スペーシアをすべて置き換えた際、自社線内では通勤時間帯の運行を引き継ぐことが考えられる。ラッシュ時は伊勢崎線北千住~春日部間の乗車率が高く、100系スペーシアの座席車の定員は260人で、浅草~春日部間の特急料金は520円だ。
一方、N100系SPACIA Xのスタンダードシートは定員130人、プレミアムシートは定員35人の計165人、同区間のスタンダードシート料金は600円の予定だ。
座席数の少なさをカバーするには、東京メトロ日比谷線霞ケ関~伊勢崎線久喜間を運行する座席指定制列車「THライナー」の北千住停車(実際は北千住で乗務員交代のため停車するが、客扱いは行わない)、通勤時間帯に限り、特急「りょうもう」「リバティりょうもう」の停車駅に春日部を追加するなど、新たな需要の掘り起こしが求められる。
次にN100系SPACIA X がJR東日本直通列車を引き継ぐ際、スタンダードシートのみ普通車、それ以外をグリーン車に充てることが考えられる。その場合、JR線内のグリーン料金は特急「サフィール踊り子」と同じ料金を適用するのかなどが注目されるだろう。
JR東日本は東武鉄道直通特急用として、485系、253系1000番台(いずれも改造車)を投入したが、居住性はいずれも100系スペーシアより劣る。N100系SPACIA Xの登場を機に、JR東日本はひけをとらない新型車両を開発することも考えられ、2020年代後半以降の日光・鬼怒川方面特急は華やかさと彩(いろどり)がより増してゆくのではないだろうか。