15日発表の東武新型特急スペーシアX 特別料金「ゆとり車両」にあった問題点とは
画期的な設備が多いN100系「SPACIA X」

従来の東武鉄道の特急形電車は客室と乗務員室の仕切りに窓がなく、まさに壁化しており、客室の居住性を重視していた。今回は、客室と乗務員室の仕切りに大きな窓を設け、開放感を演出。流れゆく展望や運転士のハンドルさばきなどを間近で見ることができる。特に1号車コックピットラウンジの乗務員室寄りの席は、ひとり掛けの展望席(リクライニングシートではない)でぜいたくなひとときを味わえそうだ。
この車両には荷棚がないものの、デッキにセキュリティーを強化した荷物置き場を設置する。参考までに先述のひのとりでは、鍵式や交通系ICカード式の無料ロッカーを備えている。
スタンダードシートは営業や出張などのビジネス客の利用を想定しているのか、コンセントは背面の背もたれに設置。今まで座席のコンセントは座席下もしくは、ひじかけに設置されていることを考えると、つけやすい位置にある(最前列の席は妻壁に設置)。
ただし、座席を向かい合わせにした場合や、5号車には車いすスペースが設置される関係で、前方に座席がない席はコンセントが利用できない。N100系SPACIA Xは、日光・鬼怒川の旅を楽しむ列車なので、細かいことを気にする乗客は皆無だろう。
5号車のボックスシートは、座席の高さが150cm、着座幅が80cmで、十分過ぎるほどゆったり過ごせるのが売り。テーブルも固定式で、ひじかけから引き出すことなく飲食などが楽しめる。通路側に帽子掛けのほか、簡易的な枕を設けており、斜めからでも車窓が眺めやすいようにしている。
車内は快適な環境にも力を注いだ。鉄道車両で採用例が多いパナソニックのナノイー(空気清浄機)に加え、日機装のAeropure(空間除菌消臭装置)を鉄道車両としては初めて採り入れ、ダブル稼働することで、よりクリーンな車内環境を提供する。
車外のデジタル方向幕も交通電業社のガラス一体型LCD(液晶モニター)表示器「彩Vision」を採用した。高輝度液晶による可視性の向上、ボンディング技術(ガラスに液晶を特殊な樹脂材で貼り合わして一体化する技術)によって、光の反射を抑え、屋外でも彩り豊かな表示と広い視野角を実現した。
これにより、方向幕と同じ書体が再現できるほか、従来の発光ダイオード(LED)に比べ細かい字も表示しやすい。さらには映像を流すことができるなど、より多彩に表示できる。
沿線地域と協働でオリジナルメニュー開発

1号車コックピットラウンジ内のカフェカウンターは、誰でも利用できる。メニューについてはオリジナルのクラフトビールやクラフトコーヒーなどを予定しており、沿線地域の事業者と協働することでN100系SPACIA Xでしか味わえない食を提供する。
沿線地域との連携を図ることで、日光・鬼怒川エリアのさらなる活性化、観光客の増加、ブランドの向上、クルマからN100系SPACIA Xにシフトなどが期待できる。
東武鉄道によると、日光・鬼怒川方面の特急利用客について、コロナ禍の2020年度は2019年度に比べ、50%も減ったという。2021年度は20~30%程度盛り返したが、外国人観光客がなかなか戻ってこないそうだ。N100系SPACIA Xは、2019年度以前の水準を取り戻すための切り札的な存在といえる。