JAL、3000人配置転換の衝撃 「LCC」「マイル事業」へのシフトは成功するのか? 背景に迫る

キーワード :
,
JALが、自社の従業員約3000人をLCCやマイル事業などに配置転換する。その背景ににはいったい何があるのか。

新型コロナ以外の障壁も

LCC「ZIPAIR Tokyo」のボーイング787は元JALの機体(画像:シカマアキ)
LCC「ZIPAIR Tokyo」のボーイング787は元JALの機体(画像:シカマアキ)

 2022年の夏、国内線はほぼ全便運航でさらに増便も発表され、コロナ前に戻りつつある。一方、国際線に関して直近での見通しは暗い。JALは元来、ビジネス目的の利用客が多くを占める。リモート会議などが普及したこともあり、業務出張も減少傾向だ。

 また、

・ロシア上空迂回ルート
・燃油サーチャージの高騰
・円安

なども日本発着便にはデメリットだ。

 さらに、日本や、ビジネス路線としてのニーズが高い中華圏などでは入国規制の緩和が大幅に遅れている。JALはロシアに2路線あり、これも再開のめどが立たないままだ。

 国際線が元に戻らない状況では、本体の航空事業はいつまでたっても回復が見込めない。しかも、世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)によれば、2022年の世界全体における航空旅客は前年比7割増だが、

「コロナ前の8割の水準」

にとどまるとの予測もある。

 海外では、新型コロナの発生直後から、航空会社や空港などでのスタッフの大量解雇が行われた。一方、日系航空会社などは一時帰休や出向、派遣などで雇用を維持した。

 だが、いつまでも元に戻らない本体の航空事業にこだわると、JALにしても経営危機に陥らないとも限らない。成長が見込める分野に早急にシフトし、人材を速やかに移すのは、企業として当然の動きだろう。