第二の「あをによし」登場? 近鉄が開発する究極の「二刀流電車」をご存じか

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大阪メトロでは、2025年の万国博覧会開催に合わせて、中央線コスモスクエア~夢洲(ゆめしま)間の延伸開業を予定している。大阪の新たなにぎわいを創出するとして期待も大きい。

夢洲延伸に合わせ、新しい列車を計画

近鉄大阪線を走行する通勤形電車(画像:岸田法眼)
近鉄大阪線を走行する通勤形電車(画像:岸田法眼)

 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)では、2025年の万国博覧会開催に合わせて、中央線コスモスクエア~夢洲(ゆめしま)間の延伸開業を予定している。夢洲は人工島で、統合型リゾート(MICE施設やホテル、エンターテインメント施設など)の整備が計画されており、大阪の新たなにぎわいを創出する街としての期待も大きい。

 中央線と相互直通運転を行う近畿日本鉄道(近鉄)も夢洲から、中央線、けいはんな線を経て、奈良線方面へ向かう直通列車を計画している。2025年万国博覧会のアクセス輸送を起爆剤に、夢洲から近鉄沿線の各地に誘客することで、沿線地域の観光振興を図るねらいがある。仮に実現した場合、夢洲―近鉄奈良・橿原神宮前間といった“観光地から観光地へダイレクトで結ぶ列車”の運行が考えられる。

 しかし、この直通運転の実現に向けて大きな課題がある。

 近鉄はケーブルカーを除き、直流1500Vの架線式に対し、けいはんな線は直流750Vの第3軌条式であること。1961(昭和36)年12月11日に開業した中央線との相互直通運転を実現させるには、規格を合わせる必要があったためだ。

 第3軌条について説明すると、線路脇に敷設した給電用のレールで、「サードレール」とも称されている。ここに直流600Vもしくは750Vの高圧電流が送電されている。鉄道の架線に比べ、感電事故の危険性が高いことから、ブラケットで覆い、トンネル内や駅では2~3か所に保護板を取りつけている。

ATS・WS-ATC両方に対応した「究極の電車」とは

近鉄が開発した可動式第3軌条用集電装置の試作(画像:近畿日本鉄道)
近鉄が開発した可動式第3軌条用集電装置の試作(画像:近畿日本鉄道)

 第3軌条車両は台車枠に設置された「集電靴(しゅうでんか。コレクターシューとも称される)」という金属製の摺板で第3軌条の上面に接触し、電気を取り入れる。これは一般的な電車のパンタグラフに相当する。

 けいはんな線は1986(昭和61)年10月1日、「東大阪線」として長田~生駒間が開業。2006(平成18)年3月27日の生駒~学研奈良登美ヶ丘間の延伸を機に、現在の「けいはんな線」に改称した。併せてワンマン運転も開始され、安全対策の観点から、けいはんな線の各駅にホームセンサーを整備した。

 幸い、けいはんな線と奈良線などは線路の幅が同じ(標準軌1435mm)。さらに日本の鉄道車両には、区間によって異なる電圧に対応した「複電圧電車」が存在、保安装置も近鉄はけいはんな線を除き自動列車停止装置(ATS)、中央線とけいはんな線は地上信号機式の自動列車制御装置(WS-ATC)と異なるが、両方を搭載すれば問題はない。

 以上のことから、架線と第3軌条、直流1500Vと750V、ATSとWS-ATCの両方に対応した

「究極の二刀流電車」

を開発すれば、夢洲から近鉄各線方面への直通列車が実現する。