第二の「あをによし」登場? 近鉄が開発する究極の「二刀流電車」をご存じか
大阪メトロでは、2025年の万国博覧会開催に合わせて、中央線コスモスクエア~夢洲(ゆめしま)間の延伸開業を予定している。大阪の新たなにぎわいを創出するとして期待も大きい。
五つの企業が総力を挙げて開発

近鉄の車両限界(車両を安全に走行するため、車両の限界範囲を定めることが省令により決められている)は第3軌条車両のほうが広い。架線式の路線で集電靴むき出しの状態で走行すると、対向列車などに接触する恐れがあるからだ。
実際、近鉄の第3軌条車両(7000系、7020系)が大阪線の五位堂検修車庫で大掛かりな検査を受ける際、集電靴などを事前に取り外したうえ、専用の運搬車両(電動貨車)にて運ばれる。
集電靴を外さない状態で架線式の路線を難なく走行させるため、近鉄は
1.近畿車輛
2.Schunk Transit Systems GmbH
3.シュンク・カーボン・テクノロジー・ジャパン
4.ニシヤマ
を交え、2020年から「可動式第3軌条用集電装置」の開発に乗り出し、2022年5月23日に試作品の完成を発表した。
その後、インテックス大阪で開催された「鉄道技術展・大阪」の近鉄ブースにてパネルが展示され、新たな挑戦を披露した。
可動式第3軌条用集電装置の概要

可動式第3軌条用集電装置の最大の特長は、架線式の路線では集電靴を収納して走行すること。これにより、対向列車などの接触を防ぐことができる。
近鉄によると、今後は強度試験、動作試験などを行う予定だという。試験で良好な成果をあげると、2025年の中央線夢洲延伸および、万国博覧会開催に向け、実車の開発に取り組むことが考えられる。
現時点、特急形電車、通勤形電車のどちらを開発するかは未定だ。