地震・豪雨に負けない! 熊本「くま川鉄道」25年度全線再開はローカル鉄道の希望となり得るか

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2020年7月の豪雨で被災したくま川鉄道が、2025年度中に全線で運行を再開する。人吉温泉~湯前間を結ぶ同路線。今後の復興には何が必要なのか。

2020年7月の豪雨で被災

くま川鉄道(画像:写真AC)
くま川鉄道(画像:写真AC)

 2020年7月の豪雨で被災した熊本県の第三セクター・くま川鉄道が、2025年度中に全線で運行を再開する見通しであることがわかった。

 くま川鉄道は1989(平成元)年10月、JR湯前線を転換して生まれた人吉温泉~湯前間を結ぶ24.8kmの路線だ。前述の豪雨では、球磨(くま)川にかかる鉄橋が流出したほか、多くの設備が損壊し、全線にわたって不通となった。

 2021年11月、被害の小さかった肥後西村~湯前間の18.9kmで運行を再開。残りの人吉温泉~肥後西村間の5.9kmの再開が期待されていた。

30年連続で赤字路線

くま川鉄道の本社(画像:(C)Google)
くま川鉄道の本社(画像:(C)Google)

 被災でくま川鉄道は大きな打撃を受け、復旧せずに廃止される可能性もあった。湯前線を引き継いで以降、その経営状態は厳しく、開業の1989年から

「30年連続で赤字」

だった。

 第三セクターを構成する人吉球磨エリアの10市町村から、毎年約8000万円の鉄道経営安定化補助金を得て、維持されてきた。

 それでも、被災から1か月半ほどで鉄道を復旧する方針がまとまった。なぜなら、年間に約70万人も利用する生活路線だったためだ。とりわけ通学で利用する高校生が多く、利用者の

「8割」

を占めている。

 2015年の高校再編で、沿線の多良木町(たらぎまち)にある多良木高校が生徒募集を停止すると、県最南部の人吉市方面への通学者は増加。朝のラッシュ時には乗車率が130%に達した。

 同社が保有する車両はわずか5台だけ。赤字経営が続くなかでは車両の新規購入もできない。そんななか被災したのだ。

 九州産交バスの路線バスが鉄道路線に並行しているが、とても朝のラッシュ客を賄うことはできない。早期に鉄道復旧が決断されたのは、当然のことだった。

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