岡山市「路面電車」乗り入れに高まる疑念 費用倍増&事業3年ずれ込み、市民の憩い広場を奪うな

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岡山電気軌道の延伸計画について、地元から疑問の声が上がっている。駅東口まで約100m延伸し、広場内に新たな電停を設けるというものだ。「かなり強引なルート」ではないのか。

いまだ工事は始まらず

岡山電気軌道の路面電車(画像:写真AC)
岡山電気軌道の路面電車(画像:写真AC)

 現在、岡山市の岡山電気軌道に対して地元から疑問の声が上がっている。それは同社の延伸計画について。岡山電気軌道の終点は岡山駅前だが、駅東口まで約100m延伸し、広場内に新たな電停(市街電車の停留所)を設けるというものだ。

 この計画は、2020年3月に国土交通省が免許を交付し、同年12月に市議会でも同意を得た。ただ、2020年時点で「2022年度末完成」とされていた工事は、なんとまだ始まっておらず、現在では2025年度完成予定となっている。

 完成が大幅にずれ込んだのは、当初の計画で問題が発生したためだ。計画が進められていた2022年1月、延伸する軌道の下にある地下街の補強工事の際に、火災などに備えて通路を常時確保しておくことを求める建築基準法に抵触することが判明。工法を変えたため、完成時期は2025年度にずれ込むこととなった。それ以上に問題なのは費用である。工法の変更で約43億円を見込んでいた予算は約86億円に膨らんでしまった。

 このため、岡山市では乗り入れに併せて実施する予定だった、

・駅舎の壁面から張り出す大屋根
・修景の植樹

など、約66億円分が取りやめられることになった。

 軌道の延伸の費用事態は岡山市と国、事業者の応分負担で総額約26億円。そのため、延伸自体は問題なく実施されても、それに付随する設備や環境の整備は不十分になってしまいそうだ。

 なにより、市民の間では延伸を疑問視する声も少なくない。その理由は、わずか100mの延伸ながら、

「かなり強引なルート」

での乗り入れになるからだ。

 2019年5月に開催された「路面電車乗り入れを含めた岡山駅前広場のあり方検討会 第8回検討会」では、路面電車が乗り入れた際の駅前広場の改良工事案が提出されている。

 現在の終点になっている岡山駅前停留所から、軌道はやや北側へカーブを描きながら交差点へ進入。現在は噴水になっている広場を廃止して、新たな停留所が建設される。

 市民から懸念されるのは、路面電車が交差点を越えることだ。岡山駅東口に面してT字状になっている交差点は、非常に交通量が多い。とりわけ2014年12月に駅南側にイオンモール岡山がオープンして以来、慢性的に渋滞が発生している。路面電車が横切るようになれば、渋滞が今以上に加速することは避けられないのだ。