旅客機から軍用機まで デビュー40年「ボーイング767」が日本でフル活用されている理由
日本でいまだ活躍中

ボーイング767と聞いて、懐かしさを感じる世代もいるかもしれない。実は日本の空、旅客機としても、いまだ現役である。
アメリカ・ボーイング社が製造する「767」シリーズは、初飛行から40年あまり。旅客機のみならず貨物機さらに軍用機と、その活躍の場は幅広い。
現在、最新の飛行機と言えば、同じボーイング社では「787」シリーズだ。ライバルのフランス・エアバス社だと「A350」シリーズが該当する。それでも767が、特に日本においていまだ多くの数が現役であるのには理由がある。
767には、ジャンボジェットと呼ばれた「747」シリーズや、外観のデザインの美しさが際立つ787ほど華やかなイメージはないかもしれない。しかし、一度767に乗れば、隠れたロングセラー、ベストセラーであることが納得できるはずだ。
就航時は「世界初」づくし

767シリーズの初期型「767-200」は、1981(昭和56)年9月に初飛行。翌1982年9月、アメリカのユナイテッド航空によって商業運航が初めて行われた。ボーイング初のセミワイドボディ機である。
この767には当時の「世界初」が多かった。そのひとつが、世界で初めて「グラスコクピット」を採用したデジタルハイテク機だったことだ。
グラスコクピットとは操縦席で従来のアナログ計器を用いず、運航情報を液晶ディスプレーに集約して表示することである。運航乗務員の負担軽減につながり、世界初のパイロットふたり乗務機となった。なお、グラスコクピットの誕生は飛行機のコクピットが最初で、今では鉄道や自動車などにも採用されている。
ボーイング初のセミワイドボディ機である767だが、そもそも旅客機は大きく分けて
・ワイドボディ機
・ナローボディ機
がある。
その違いは、客室の通路が2本か1本か、といったことだ。ボーイングで767が登場する以前に中型機として活躍した「707」「727」は、いずれもナローボディ機であり、ワイドボディ機はジャンボジェットで知られる「747」が該当した。
767の客室通路に関しては後述するが、ワイドとナローの中間サイズを想像してもらえるとよいだろう。