旅客機から軍用機まで デビュー40年「ボーイング767」が日本でフル活用されている理由
大西洋横断路線の需要増で飛躍

767は当初、航空会社各社からの受注が伸び悩んだ。その理由のひとつが、767に搭載する貨物のコンテナだった。ワイドボディ機向けのLD-3型貨物コンテナが767の貨物室に載せられず、767専用のLD-2型貨物コンテナしか使えなかった。その後、航続距離が従来の2倍以上延長した「767-200ER」が登場したものの、受注は大きくは伸びなかった。
転機となったのは、双発機による洋上飛行制限(ETOPS)の緩和だ。767も、エンジン2基の双発機である。緩和以前、飛行中のエンジンにトラブルが起きた際などの安全性を考慮し、エンジンが3基もしくは4基付いた旅客機しか長い距離の飛行が認められていなかった。
飛行時間のルールが延びたことで、航空各社が大西洋横断路線で767を次々と運航するようになった。大西洋横断路線は、747で一度に大量輸送するより、少し小さな767で多くの便を運航するほうが向いていた。
加えて、貨物があまり問題にならない区間でもあった。1980年代後半から1990年代にかけ、航続距離延長型や胴体延長型の「767-300」「767-300ER」なども登場し、全世界で767が大きなシェアを占めるようになった。
2011年2月、767シリーズの製造機数は通算1000機を突破。そして、2014年1月にカザフスタンのAir Astanaへ引き渡したのを最後に、旅客機は製造中止された。2011年10月にデビューした同じセミワイドボディ旅客機である787にその座を譲った形だった。
767を長く使い続けているワケ

767シリーズは日本でもANAやJALなどが導入し、いまだ50機近くが旅客機として現役だ。過去にスカイマークが767を運航していた時期もあった。ANAは貨物専用機として別に9機を所有、運航する。
デビューから40年あまり、製造中止になって8年もたつ。767を旅客機で運航する航空会社は、世界的に見ると新興国または格安航空会社(LCC)が、この数年で多くなった。大手航空会社では、日系のほかは、ユナイテッド航空とデルタ航空、韓国のアシアナ航空ぐらいである。過去に運航していたニュージーランド航空やブリティッシュエアウェイズなど、最近ではアメリカン航空も全機退役した。
767の良さ、そのひとつは座席配列だ。787とA350では「3-3-3」が主流なのに対し、767では「2-3-2」が標準。窓側から2席のみだと夫婦やカップルなどで利用しやすく、通路に出るのも容易だ。しかも、客室の通路が2本あると、搭乗や降機の際の人の流れがスムーズになる。
また飛行機は離着陸時、一定の距離が必要だ。767の離陸滑走距離は、767-300が1660m、767-300ERが2060mである。日本の空港は地方を含めて2500~3000mが多い。地方路線でも767なら運航できるメリットがある。
近年の国内線では、羽田-伊丹、福岡などの基幹路線では787やA350などが主力機だ。ビジネス利用のヘビーユーザーが多く、1日の運航便の数も多いため、燃費もいい新型機が設定されている。
一方、地方路線は時期によって搭乗率にばらつきがある。例えば、お盆や年末年始の帰省ラッシュ時、修学旅行生らで混む時などは、小型機より多く送客できる767が活躍する。