奥羽・羽越新幹線は本当に新経済圏を作れるのか? 成功条件は「50年運行」、経済成長ありきの計画に疑念

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奥羽・羽越新幹線の建設計画に注目が集まっている。実現されたら、新たな経済圏は誕生するのだろうか。

いまだ具体的な建設の動きは見られず

奥羽・羽越新幹線のイメージロゴ(画像:山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟)
奥羽・羽越新幹線のイメージロゴ(画像:山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟)

 西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が2022年9月23日、開通する。新幹線整備による地域発展を求める声は全国各地でいまだ強く、四国でも新幹線の早期整備を求める地元の運動は続いている。そうしたなか、新たに浮上しているのが奥羽・羽越(うえつ)新幹線だ。福島市から山形市を経由して秋田市に至る奥羽新幹線と、富山市から新潟市・秋田市を経由して青森市に至る羽越新幹線の建設が目指されている。

 いずれも、1973(昭和48)年11月の『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』で、新幹線の基本計画路線となっている。しかし、新たに路線を建設しなければならない新潟市・山形市~秋田市・青森市で、具体的な建設の動きは見られていない。

 これらの計画が地元で盛り上がりを見せたのは、ここ数年のことだ。

 2016年5月には山形県が官民による「山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟」を設立。2017年8月には山形県を事務局として、沿線の青森・秋田・山形・福島・新潟・富山による「羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチーム」が発足している。

内在した山形新幹線への不満

山形新幹線(画像:写真AC)
山形新幹線(画像:写真AC)

 実現に向けて特に熱が入っているのは山形県だ。その背景には、現在の山形新幹線への不満がある。

 山形新幹線は、日本初の「ミニ新幹線」として知られている。在来線線の路幅を広げて、奥羽本線の列車がそのまま東北新幹線に乗り入れることのできる新幹線直行特急だ。これは、山形新幹線の整備が国の予算に計上されて建設が本格化した1987(昭和62)年時点では画期的な方法だった。

 山形県では1992(平成4)年の国体開催を控えて、東京との距離を近づけることが目下の課題だった。そこで着目されたのは、技術レベルで研究の進んでいた新幹線直行特急だった。数千億円かかるフル規格の新幹線より、ゼロがひとつ少ない費用で建設できたのだ。

 さらに、運営には上下分離方式(施設の整備・保有主体と運営主体を分離すること)を導入した。総事業費は520億円のうち、国からの補助は47億円で、県と山形県の出資は43億円。残りは、施設と車両を保有する第三セクター「山形ジェイアール直行特急保有」の借金で賄われた。

 1992年の開通以降、JRの払うリース料で返済は順調に進み、2013年度に完済。同社も2018年3月、JR東日本に施設の譲渡を完了して解散している(『朝日新聞』2017年7月2日付山形版朝刊)。

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