路面電車が駅ビル2階に乗り入れ 「広島駅南口」の再開発大実験は吉と出るのか、凶と出るのか?
路面電車二路線を整備中

広島市のJR広島駅南口の再開発が進んでいる。その目玉になっているのが、広島電鉄の路面電車の大改造だ。工事の完成は2025年予定で、地上にある路面電車が高架で駅に乗り入れ、駅ビル2階で乗り換えできるようになる。JRとのアクセスは大幅に変わる見込みだ。
一部路線の高架化に併せて進められているのが、駅周辺の路線の改廃だ。高架化工事に併せて広島電鉄では
・駅前大橋ルート
・循環ルート
のふたつの路線を整備している。
駅前大橋ルートは広島駅と繁華街の八丁堀・紙屋町を結ぶルートのうち駅手前の猿猴橋町停留所と前後の線路を撤去し、八丁堀・紙屋町寄りの稲荷町停留所から広島駅方面へ短絡するルートに変更するもの。
猿猴橋町停留所を通り、現在のルートは駅前を一度迂回してから広島駅に向かう形になっており時間がかかるためだ。循環ルートは、この路線の改廃に併せて市内中心部を環状に結ぶ路線を設定するものだ。
路線の変更の流れ

停留所の廃止を含めた路線の変更は、広島駅南口再開発の初期段階に広島電鉄から提示された。2010(平成22)年には紙屋町・八丁堀への利便性が高まるとして市中央部商店街振興組合連合会も要望し実現性が高まった。
この部分の路線を変更して短縮されるのは4分。4分の短縮をめぐり廃止される停留所周辺からは反発もあった。当初の提示された駅前大橋線の案では、猿猴橋町だけではなく、的場町・段原一丁目の三つの停留所を廃止し、代替として循環バスを運行するとしていた。
廃止される停留所周辺の住民からの「利便性が低下する」という反発を受けて、広島市は2014年4月に改めて計画を提示。廃止するのは猿猴橋町にとどめ、駅前大橋線とともに循環ルートの検討を進めるセット案を提示するに至った。
これによって2014年9月には「広島駅南口広場再整備基本方針」が決定し、現在工事が進められているプランが確定した。当初案にこだわるのではなく、説明会を重ねて住民の意見を反映したことがスムーズに計画が決まった理由といえる。