「蒲蒲線」35年開業 地方負担で合意も、思想なきデザインに未来はあるのか
蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ新線
JR・東急電鉄の蒲田駅と京急電鉄の京急蒲田駅を結ぶ蒲蒲線(新空港線)の整備事業で、東京都大田区が都と費用負担で合意したことが発表された。
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大田区では2022年度中に第3セクターを設立し、2035年の開業を目指す。これまで長きに渡り、建設構想だけが存在した蒲蒲線。本当に実現するのだろうか。
今回発表された計画によると、蒲田駅に乗り入れる東急多摩川線を蒲田駅と矢口渡駅の間で地下化し、地下に新設された東急蒲田駅から京急蒲田駅まで線路を延ばすという。総事業費は1360億円。国と都区、第3セクターの三者で3分の1ずつ負担する。1日の利用者数は約5万7000人を見込み、開業17年後には黒字化するとされている。
蒲蒲線の構想は1987年から
東急多摩川線は、蒲田駅と多摩川駅を結んでいる。
かつては目黒駅に向かう目蒲(めかま)線の一部だったが、2000(平成12)年に、メトロ南北線・都営三田線との相互直通を実施するために路線が再編された際、誕生した。沿線住民の言葉を借りれば、目黒まで直通していた目蒲線の
「切り捨てられた区間」
である。今でも3両編成の電車が行きかう、東急池上線と並ぶ城南のローカル線だ。
そんな路線を空港に直結させること自体に、さほど意味はない。重要なのは、その先の計画だ。
蒲蒲線は1987(昭和62)年に構想がスタートしている。1989(平成元)年には「大田区東西鉄道整備調査報告書」がまとめられたものの、計画は進展しなかった。
計画が進み出したのは2000年になり、運輸政策審議会の答申18号で、課題はあるものの2015年までに整備着手することが適当な路線とされてからだ。これを受けて2005年には区民を中心とした「大田区蒲蒲線整備促進区民協議会」も発足している。