東京を抑えて「ゆとり日本一」――月13万円を残す“北陸県”の正体
手取り首位の東京(月31万9562円)を阻む高い住居費と、地方移住の恩恵を打ち消すクルマ代(山梨で月1万8983円)。総務省の最新データ独自集計から、都会の空間支出と地方の移動コストのトレードオフを検証する。ゆとり額全国1位の福井(月13万2887円)を筆頭に、正解なき居住地選びの本質に迫る。
正解なき居住地選びの決断

数字が物語っているのは、
・稼げる都会
・生活費の安い地方
か、という単純な二者択一の終わりだ。高い家賃を払って便利な公共交通を使いこなすか、手頃な住まいを選ぶ代わりにマイカーを自前で維持するか。あるいは子どもの教育に多くを投じるか、外食を控えて家での時間を充実させるか。
そこにあるのは、どのみち支払うことになるコストの置き換わりにすぎない。住む場所を変えたからといって、暮らしにかかる全体の負担が都合よく消えてなくなるわけではないのだ。
損得勘定だけで割り切れるような、日本中どこにでも通じる正解などない。それぞれの生活者が置かれた状況や立ち位置によって、何がベストかはがらりと変わる。乗り物のサービス化やインフラの進歩は、住まう場所と移動手段の組み合わせをかつてないほど豊かに広げつつある。
私たちは自らのライフステージや価値観に照らし合わせながら、
・どの便利さを手に入れ
・どの固定費を自ら引き受けるのか
を選んでいくことになる。そうした主体的で自由な決断の積み重ねの先に、ひとりひとりの新しい暮らしの形が見えてくるだろう。