東京を抑えて「ゆとり日本一」――月13万円を残す“北陸県”の正体

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手取り首位の東京(月31万9562円)を阻む高い住居費と、地方移住の恩恵を打ち消すクルマ代(山梨で月1万8983円)。総務省の最新データ独自集計から、都会の空間支出と地方の移動コストのトレードオフを検証する。ゆとり額全国1位の福井(月13万2887円)を筆頭に、正解なき居住地選びの本質に迫る。

教育投資と地方の環境コスト

交通費計(ひとりあたり/月)(画像:クラシノ)
交通費計(ひとりあたり/月)(画像:クラシノ)

 住む場所による違いは、家賃やクルマの維持費といった目に見えやすいコストにとどまらない。その土地の気候風土や、そこに暮らす人々の価値観もまた、手元に残るゆとりを大きく左右する。

 わかりやすいのが、18歳未満の子どもひとりあたりにかける教育費だ。奈良県の月額4万1510円や東京都の3万3501円が上位に並ぶ一方、最も低い沖縄県は5063円にとどまる。ここには最大7倍以上という驚くべき開きがある。自分だけでなく子孫の将来まで見据えてお金を動かすという、経済学の王朝仮説さながらに、未来への投資が今の家計の自由度を引き換えにして成り立っている。

 普段の食生活にも地域ごとの顔がある。街なかに選択肢が溢れる都市部では外食費が突出する一方で、東北や北陸では米や酒類といった自炊の費用が高めになる。外で効率よく時間を消費するか、家での食文化を楽しむか、そんな好みの違いがそのまま財布の中身に現れている。

 さらに、個人の工夫ではどうしても動かせない地理的なコストもある。青森や岩手、北海道といった北国では、冬場の暖房や灯油代がかさみ、光熱費が月額1万1000円を超えていく。山形や長野のように、住まいが広範囲に散らばっていたり積雪が厳しかったりする地域では、インフラを保つ負担からひとりあたりの水道料金が4000円前後に高止まりする。これらは、その土地で生きていくために避けて通れない環境コストだ。

 こうした一筋縄ではいかない条件が重なり合うなかで、経済的ゆとり額の全国1位に輝いたのは

「福井県」

の13万2887円だった。福井の物価がとりわけ安いわけではない。親との同居や共働きを選ぶ家庭が多く、ひとつの屋根の下に複数の稼ぎ手(有業人員)がいるという世帯のあり方が効いている。日々の暮らしにかかる固定費をみんなでわかち合う

「世帯のチーム力」

こそが、確かなゆとりを生み出しているのだ。

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