なぜスバルはアセントを「右ハンドル化」せずそのまま日本投入するのか? 特例制度で変わる逆輸入、供給の転換を考える
2026年2月の特例制度施行で加速する米国生産車の「逆輸入」。だがその本質は通商対応の枠を超え、自動車大手の経営戦略のわかれ目となっている。米国仕様のままスピード導入を図るスバルに対し、トヨタは今秋の「カムリ」販売目標1万台に向けて日本仕様への調整を敢行。同じ制度下で二分した戦略から、世界規模で再編される生産体制の未来を見通す。
米国車逆輸入の加速と各社の戦略

日本の自動車市場では、米国で生産された車を国内へ持ち込む「逆輸入」の動きが加速している。背景には、日米間の通商上の課題への対応や輸入認証手続きの簡素化など制度面の変化がある。
ただし今回の特徴は、輸入量の増加そのものではない。同じ制度環境を前提としながらも、メーカーごとに取る戦略がはっきりわかれ始めている点にある。
スバルは特例制度を活用し、米国仕様のまま早く投入する。一方でトヨタは通常の認証を基に、日本市場向けに仕様を調整しながら展開する。この違いは、逆輸入という動きが通商対応から
「企業の戦略判断のわかれ目」
へと性格を変えつつあることを示している。
一連の米国生産車の逆輸入の動きは、大臣特例認定制度(特例制度)の創設に端を発している。特例制度は、米国で製造され、かつ米国で安全認証を受けた乗用車について、国土交通大臣の認定を受けた場合、保安基準に適合するものとして追加試験なしで日本国内で販売できるようにする仕組みである。
この特例制度の創設は、2025年7月22日の「日米間の枠組み合意についての共同声明」における日本の対応方針に基づくものである。輸入手続きが簡素化されることで、米国生産車の日本への導入が進みやすくなる。
実際に2026年2月16日の特例制度の施行以降、トヨタやスバル、ホンダ、日産は米国生産車の逆輸入を進めている。今回の逆輸入の拡大は、市場の需要から自然に広がったというよりも、日米間の通商交渉の流れの中で仕組みとして作られた結果である。