東京を抑えて「ゆとり日本一」――月13万円を残す“北陸県”の正体
手取り首位の東京(月31万9562円)を阻む高い住居費と、地方移住の恩恵を打ち消すクルマ代(山梨で月1万8983円)。総務省の最新データ独自集計から、都会の空間支出と地方の移動コストのトレードオフを検証する。ゆとり額全国1位の福井(月13万2887円)を筆頭に、正解なき居住地選びの本質に迫る。
東京の富を吸う空間コスト

日本で最も高い可処分所得を得られる東京都。その額はひとりあたり月額31万9562円に届くが、手元に残る「経済的ゆとり額」の順位を見ると、東京は首位の座にいない。持ち家の「帰属家賃」を合わせた実質的な住居費が、月額8万5815円にまで跳ね上がっているからだ。最も安い宮崎県の3万7418円と比べれば、その差は
「4万8000円超」
にもなる。地方より約9万円高い手取りの半分以上が、家賃という重いコストに吸い取られている形だ。
公共交通が網の目のように発達する東京では、ひとりあたりの公共交通費が6706円と全国でも上位に入る。鉄道やシェアモビリティが充実しているため、あえて自動車を個人で抱え込む必要性も薄い。
開発側も、駐車場をあらかじめ備えるやり方から、乗り換え拠点へのアクセスを重んじるつくりへとかじを切りつつある。毎月の高い住居費は、見方を変えれば、マイカーを持たずに暮らせる移動エコシステムへの“定額参加権”のようなものかもしれない。それが巡り巡って、日々の効率的な暮らしを支えている。