東京を抑えて「ゆとり日本一」――月13万円を残す“北陸県”の正体

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手取り首位の東京(月31万9562円)を阻む高い住居費と、地方移住の恩恵を打ち消すクルマ代(山梨で月1万8983円)。総務省の最新データ独自集計から、都会の空間支出と地方の移動コストのトレードオフを検証する。ゆとり額全国1位の福井(月13万2887円)を筆頭に、正解なき居住地選びの本質に迫る。

都市と地方で逆転する交通費

自動車維持費(ひとりあたり/月)(画像:クラシノ)
自動車維持費(ひとりあたり/月)(画像:クラシノ)

 地方へ移れば生活費が安くなると期待しがちだが、マイカーの維持にかかるお金がその恩恵を大きく打ち消してしまう。公共交通と車の維持費をひっくるめた「交通費計」のデータを見ると、都市と地方でお金のかかり方がすっかりひっくり返っている。

 なかでも負担が重いのは山梨県の1万8983円で、山口県の1万8800円、長野県の1万8718円がそれに続く。こうした地域では、郊外化が進んだことで自家用車に頼らざるを得ない背景がある。

 しかも、この数字にはガソリン代や保険料といった日々の維持費しか入っていない。数年に一度めぐってくる車両の買い替え代を月額に換算すれば、さらに1万~1万5000円ほどが上乗せされる。地方での暮らしを守るには、モータリゼーションへの継続的な投資が欠かせないのが実情だ。

 何かを選ぶことで失われる別の利益をみつめる、「機会費用」という視点がある。この目で眺めると、都会の高い家賃を受け入れ、車を持たずに暮らすライフスタイルも十分に理にかなっているといえそうだ。車を維持するために消えていくはずのお金や時間を住居費に回し、そこで生まれたゆとりを日々の活動や余暇に充てている――とも捉えられるからだ。

 こうした地方ならではの重い移動の負担を前に、自動車メーカーや地元のディーラーも、新車を売るだけのビジネスから一歩踏み出しつつある。月額の定額払いで乗れる仕組みを整えて手元から出ていくお金を平らにならしたり、通信技術を使って故障をあらかじめ防ぎ、突発的な修理費を抑えたりといった取り組みがその一例だ。

 さらには自治体と手を組み、住民が呼び出して乗る乗り合い交通の運行を任されるケースも出てきた。安価で広い住まいと、日々の自由な移動を裏でつなぎとめる。地方のモビリティ産業は今、地域の暮らしそのものを支えるインフラとして、その役目を大きく広げているのだ。

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