なぜ過積載の撲滅は「適正運賃」への第一歩となるのか? 特車ルール厳格化が拓くホワイト物流、持続可能な輸送網の構築とは

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年間14万から15万回に上る重量超過を受け、国交省は2026年度中に特殊車両の刑事告発基準を厳格化する。違反の過半数が無許可という輸送現場の重い課題に対し、この締め付けはインフラ保護に留まらず、低運賃に苦しむ事業者と荷主の関係を適正な形へ戻せるのか。サプライチェーン全域へ及ぶ構造転換の行方を追う。

生存戦略と事業者の二極化

トレーラー(画像:写真AC)
トレーラー(画像:写真AC)

 働く人たちの高齢化や人手不足、それに燃料費の高騰が重なり、運送会社の収益は削られ続けている。そうした中で、一度に運ぶ荷物の量をできるだけ増やそうとするトレーラーの大型化や積載率の引き上げは、会社が生き残るための手段でもあった。

 これまでは、違反を検知されても「3か月で20回」という、行政指導の警告にまで届きにくいルールの隙間が存在していた。そのため、仮に100万円以下の罰金というリスクがあっても、目の前の赤字を避けるために重量超過を選んでしまう構造があったと言える。ネット上から聞こえる

「ドライバーは好き好んで基準違反の物を運んでいない」
「ドライバーは生活がかかっていて会社に文句が言えない」

というつぶやきは、まさにこの追い詰められた空気を物語っている。

 しかし、無許可の車両に対して1回目の違反からすぐに注意喚起書を送るといった今回の踏み込んだ措置は、まっとうな運行管理を続ける事業者にとって、ようやく対等に競い合える環境をもたらすことになりそうだ。

 車両メーカーの動きも連動している。路面への局所的な重みを分散させるために車軸を増やした多軸シャシーの開発や、荷物の重さに応じて車軸の接地数を自動でコントロールする技術の高度化がそれだ。車載センサーで重さをリアルタイムに測り、外側の検知にかかる前に運行管理側へ知らせるソフトとの連携など、ルール順守を自動化する仕組みが広がりを見せている。その一方で、

・システムへの投資に回す資金
・荷主に対する価格の交渉力

を持たない中小・零細の事業者にとっては、荷物を適正な量に抑えることがそのまま売上の減少につながりかねない。技術と資金を投じて合法的に運ぶ力を高める企業と、コストの上昇に耐えかねて市場を去る企業との間で、二極化が一段と進むことになる。ネット上からは

「長さと総重量の制限を緩和し、多軸トレーラーなど多くの車輪に分散させて道路への負担を小さくする輸送を普及させるべき」

という具体的な提案も出ている。輸送ビジネスの焦点は、多く積むことから、技術を使ってどう適正に運ぶかという地平へ移りつつある。

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