なぜ過積載の撲滅は「適正運賃」への第一歩となるのか? 特車ルール厳格化が拓くホワイト物流、持続可能な輸送網の構築とは
インフラ保全と制度の摩擦

国や道路の管理者が取り締まりを厳しくする背景には、傷みゆく道路の保護と、膨らみ続ける手直し費用の抑制という目的がある。全長12m、幅2.5m、高さ3.8m、総重量20tという制限をどれかひとつでも超える車両が路面に与える重みは、想像以上に大きい。ネット上からは
「アスファルトの轍が捲れて凹凸になり、自転車で走る際に危険な障害物になっている」「雨の日は轍に水がたまって歩道に水しぶきが飛んでくる」
と実害を訴える声が上がる。実際、2023から2025年までに無許可車両が起こした事故は全国で32件。そのうち6件が命に関わる重大な事態であり、2023年には北海道でトレーラーの追突によりふたりが亡くなる事故も起きている。
こうした重みの増大をたどっていくと、
・工事現場の人手不足
・工期を縮めたいという要請
に行き着く。建築資材や大きな設備をはじめから工場で組み立て、それをまとめて運ぶモジュール化工法の広がりだ。よその産業が効率を高めようとした結果、公道を動く荷物がひとつにまとまって重くなるという事態を招いている。
その一方で、2024年度時点で211万台にまで達している許可制度そのものが、目まぐるしく変わる現場の動きに対応しきれていない面もある。予定がたびたび変わる建設機械の運び込みなどでは、書類を出してから許可が下りるまでに1か月以上かかる。この時間の長さが壁となり、事前の手続きを経ないままの運行を促してしまっている側面は否めない。ネット上の
「急な頼みや段取りの変更が多く、時間がかかる仕組みでは間に合わない」
「ふつうの県道は20tまでに制限されているから、大型の4軸車などは大半がそれだけで引っかかってしまう。ルールが形ばかりになっている」
という言葉に、実務者の苦悩がにじむ。もっとも、今回の締め付けをきっかけとして、これまでの手続きをデジタルへ移す動きがにわかに活発化してきた。ネットワーク上で通れる道をすぐに見つけ出し、運転席のナビと連動させる運行管理ソフトを入れるなど、ルールの壁を技術で乗り越えようとする仕組みへの転換が、すでに始まっているのだ。