駐車場に停めたままの軽EVが「月1万円超」を稼ぐ? 自動車メーカーが挑む“電力ビジネス”、始まる次の競争とは
EVを「稼ぐ資産」へと転換する地殻変動が始まった。日産や三菱自動車は、1kW時あたり24円もの市場価格差に着目し電力取引へ参入する。軽EVで月1万円以上を稼ぎ出す試算も浮上した。売り切り型モデルから脱却し、エネルギー業界との融和を進める自動車大手の新たなインフラ覇権への動きを追う。
EV取引と産業構造の変化

日産自動車や三菱自動車が、電気自動車(EV)を活用した電力取引ビジネスの検討を進めている。車両を蓄電池として広く活用し、電力市場で売買することで収益を生み出す取り組みだ。製造・売り切り型を中心としてきた自動車産業が、移動手段を提供する枠組みを超え、社会全体のインフラを支える領域へと事業構造を広げつつある。
背景には、再生可能エネルギーの普及や電力需給の環境変化がある。天候に左右される太陽光や風力発電の出力は日々変動するため、需給調整の重要性が増している。さらにAIデータセンターの増加で電力需要が拡大し、安定供給が喫緊の課題となっている。EVが
「需給調整役」
を担うことで、電力システム全体を支える社会インフラへと役割を拡張する動きが本格化し、自動車を保有・運用する経済的意味合いがこれまでの概念を超えて進化しようとしている。
収益モデルには電池劣化や設備負担といった課題も存在するが、技術や仕組みの進展にともなって新たな価値創出のステップへとつながる。EVは移動の道具から
「稼ぐ資産」
へどう成長していくのか。また自動車メーカーはなぜ電力ビジネスへ足を踏み入れ、事業領域を広げようとしているのか。本稿では、新たな収益源を模索する産業構造の変化に焦点を当て、その背景と今後の展開可能性を深く掘り下げる。