駐車場に停めたままの軽EVが「月1万円超」を稼ぐ? 自動車メーカーが挑む“電力ビジネス”、始まる次の競争とは

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EVを「稼ぐ資産」へと転換する地殻変動が始まった。日産や三菱自動車は、1kW時あたり24円もの市場価格差に着目し電力取引へ参入する。軽EVで月1万円以上を稼ぎ出す試算も浮上した。売り切り型モデルから脱却し、エネルギー業界との融和を進める自動車大手の新たなインフラ覇権への動きを追う。

加速するEVのインフラ活用

充放電制御の仕組み(画像:三菱自動車)
充放電制御の仕組み(画像:三菱自動車)

 EVの活用目的が、移動手段から電力を蓄えることへと広がり始めている。この変化を後押しするのが、通信経由で車両機能を後からアップデートできる

「ソフトウェア定義型車両(SDV)」

への進展だ。三菱自動車は、2024年から充電を電力価格の安い時間帯に行うサービスを開始し、2030年には放電へも広げる方針を掲げる。利便性の高い電力サービスを通じて自社の強みであるプラグインハイブリッド車(PHV)などの拡販につなげ、車両のライフサイクル全体で価値を提供する形へビジネスを拡大させている。

 また、三菱自やMCリテールエナジーなど5社は、日本初の家庭向けEV充放電自動制御の実証を2025年11月から開始した。電気代の安い時間帯に充電し、高い時間帯に卸電力市場を通じて売電する仕組みだ。東京電力管内のEV10台を対象に2026年3月まで実施された。所有者が専用アプリでフル充電の完了希望時間などを事前入力すれば、価格推移などをもとにシステムが充放電を自動調整する。ユーザーの手間を省きながらエネルギーマネジメントを最適化する仕組みが整いつつある。

 日産自動車も、送電網に接続して充放電する「V2G(ビークル・ツー・グリッド)」を英国の一部車両を対象に2026年に導入すると発表した。日本国内でも、家庭用蓄電池などの余剰電力を同社を介して電力会社に販売できるよう2030年以降の参入を図る。自動車メーカーが分散型エネルギーリソースを束ね、エネルギー供給の新たな担い手となる動きを見せている。

 海外で蓄電池を活用したサービスに強いのがテスラだ。米テキサス州およびカリフォルニア州でピックアップトラック「サイバートラック」を送電網につなぎ、電力を売買できる仕組みを導入した。市場価格を予測する通信機器を自宅に設置すれば、アプリ経由で報酬を受け取れる。さらに家庭用蓄電池「パワーウォール」や太陽光発電設備を束ねて出力を最適制御する「仮想発電所(VPP)」も構築し、日本でも開始された同事業は今後EVとの連携に広がる可能性が高い。

 米ゼネラルモーターズ(GM)も車両を家庭や電力網と連携させるエネルギー事業を強化しており、各社がEVのインフラ活用を目指している。数百万台規模で普及するEVが巨大な分散型蓄電池として機能すれば、電力需給を支える社会インフラへと成長する。これまで環境対応車として扱われてきたEVに

「動く蓄電池」

の機能が加わり、エネルギー安定供給への貢献が期待されているのだ。

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