なぜ品川駅の女子トイレには「11枚」の貼り紙が並んだのか? 海外3000万人分析が突きつけた人流管理の変化とは

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3年間で3000万件の歩行データを分析した最新研究が、駅インフラの常識を覆した。乗客は案内表示ではなく、前を行く見知らぬ他者に無意識に追従しているという。過密ダイヤの遅延リスクや駅ナカ店舗の賃料格差に直結する不合理な群衆心理を解き明かし、従来の施設拡張に頼らない新たなインフラ経営の針路を展望する。

選択の雪崩と列車の遅延リスク

オランダ(画像:Pexels)
オランダ(画像:Pexels)

 分析では、乗客が列車を降りた後の順番や選んだ経路を調べ、互いに面識のない人同士の行動が経路選択にどのような影響を与えるのかに注目した。その結果、ホームに降りた乗客は、

「すぐ前を歩く人と同じ経路をたどる傾向」

が強いことがわかった。この傾向は、相手と何の関係もない場合だけでなく、移動時間が余計にかかる場面でも見られた。人々が常に効率のよい道を選んでいるわけではないことを示す結果である。

 列車から降りた人々が最短経路を選ばず、特定の通路へ集中すると、ホームから人がいなくなるまでの時間は長くなる。秒単位で運行管理が行われる都市鉄道にとって、これは列車の遅れにつながる要因となる。さらに、このような滞留を防ぐため、鉄道会社は警備員の増員や誘導要員の配置など、追加の人件費を負担しなければならない。

 研究チームは、この行動の偏りが連続して広がることで、「選択の雪崩(avalanches of choice)」が起き、群衆全体の流れが形づくられるとみている。2022年10月に韓国・ソウルの梨泰院で発生した雑踏事故でも、混雑の中で明確な行き先を決めていなかった人々が、目の前の人の後ろについて移動した結果、群衆の流れが一方向に集中した可能性がある。

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