率直に言う 万博EVバス問題を「一企業の責任」に矮小化するのは間違いだ
EVバス事業を手がけるEVMJが民事再生法を申請し、負債は約57億円にのぼる。万博向け導入を契機に広がったEVバス政策は、補助金制度や整備体制の遅れも抱え、企業単体では説明できない構造課題を浮かび上がらせている。
制度と現場の食い違い

今回のEVMJの問題は、一社の実質的な破綻としてだけ語るべきではない。本稿で見てきたとおり、国としてのEVバスに関する政策や制度づくりに十分な備えがなく、政策、発注、運用の各段階で前提の食い違いが重なっていたことが今回の事態につながった面がある。
もしバス事業者がEVバスを適切に選べるよう支える政策が整っていれば、今回のような問題は避けられた可能性がある。その場合、日本の自動車技術の安定性もより明確に示せたはずだ。改めて見ると、政治家や官僚のなかにEVバスを見極められる人材を育成し、前述の食い違いを埋めていく役割が政策側に求められる。
経済産業省のデータによれば、EVバスの分野では中国の登録台数が約3万台で世界の6割を超える水準にある。一方で日本は、EVトラックとEVバスを合わせても販売台数は1000台に届かない。世界の動きと比べて市場形成が遅れている状況だ。
地政学的な不安定さや、国内バス事業の厳しさを踏まえれば、それに対応した政策が求められる。加えて、国際的な視野を持ち、EVがもたらす社会の姿を具体的に描ける政策人材の存在も必要である。