率直に言う 万博EVバス問題を「一企業の責任」に矮小化するのは間違いだ

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EVバス事業を手がけるEVMJが民事再生法を申請し、負債は約57億円にのぼる。万博向け導入を契機に広がったEVバス政策は、補助金制度や整備体制の遅れも抱え、企業単体では説明できない構造課題を浮かび上がらせている。

国産投入の遅れが生んだ構図

 全体を見れば、いすゞなどの国産EVバスが早い段階で投入されていれば、今回のEVMJのような事態は起きず、保守や整備、運用の仕組みを一体で整えられた可能性もあった。

 今回のEVMJの問題を「一企業の失敗」として片づけるのは適切ではない。これまで述べてきたとおり、バス事業の事情やEVバスの開発の流れを踏まえると、EVバスという選択肢をどう広げるかという点で、制度や政策の準備が十分でなかった面が浮かぶ。

「日本発」という技術の説明を十分に見極められないまま新しい動きに乗った政治側の判断、さらに技術の評価やデータに基づく補助の組み立てを十分に行えなかった行政側の対応など、政策を作る側の課題も見える。加えて、社会の進む方向を描き、EVバスの使い方を整理できる専門人材が政策の場に不足している点も大きい。

 現在の日本では、バス事業の現場は国産車と整備のしやすさを重視し、政策側はEV導入の速度を優先し、車両メーカーは採算性を慎重に見ている。この三つの立場がかみ合っていない。本来はこの食い違いを調整するのが政策の役割であり、その責任は重い。

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