率直に言う 万博EVバス問題を「一企業の責任」に矮小化するのは間違いだ

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EVバス事業を手がけるEVMJが民事再生法を申請し、負債は約57億円にのぼる。万博向け導入を契機に広がったEVバス政策は、補助金制度や整備体制の遅れも抱え、企業単体では説明できない構造課題を浮かび上がらせている。

補助制度の前提構造

 EVバスの購入では、バス事業者は環境省の「商用車等の電動化促進事業(タクシー・バス)・脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」を利用する形になる。さらに沿線の自治体が補助金を出す場合でも、その前段として環境省への申請が必要になることが多い。

 補助の対象となる金額としては、10m超の大型路線バスであるWISDOM・F8 series2-City Bus(10.5m、210kWh仕様)が約1868万3000円、YANCHENG・V8-City Bus(10.5m、288kWh仕様)が2061万6000円といった補助基準額が示されている。ただし実際の車両価格は仕様によって変わり、大型EV路線バスの10m~11mクラスでは、安い場合でも4000万円前後、6000万円近くに達することもある。

 例えばいすゞのエルガEVでは、導入価格が約6600万円で、補助基準額は2895万円となっている。現在の支援の仕組みでは、バス事業者の実質的な負担は1台あたり2500万円から3500万円程度の範囲に収まるケースが多い。このため事業者は、整備のしやすさやこれまでの信頼性も含めてメーカーを選ぶことになる。

 ただし、この負担水準が本来妥当なのかは検討の余地がある。前述したような走行性能や安全性等の多角的な評価データに基づき、性能の高い車両が選ばれやすいような柔軟な補助制度が求められるはずだ。実際には補助基準額の算定根拠となる詳細なデータは公開されていない。そのため、補助金ありきで導入が進む構図も見えてくる。

 補助金を出す国や自治体にも、EVバスの技術を評価できる体制づくりが求められる段階に来ている。導入の後押しを優先するのではなく、条件を見極めて選別を行う仕組みに移る必要がある。導入の速さを優先しすぎれば、メーカー選びの精度が下がるおそれがある。

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