率直に言う 万博EVバス問題を「一企業の責任」に矮小化するのは間違いだ
EVバス事業を手がけるEVMJが民事再生法を申請し、負債は約57億円にのぼる。万博向け導入を契機に広がったEVバス政策は、補助金制度や整備体制の遅れも抱え、企業単体では説明できない構造課題を浮かび上がらせている。
国産開発停滞の背景
昨今の燃料価格の不安定さやバス事業の苦しい経営状況を踏まえれば、本来は国産メーカーと国が一体となってEVバスの開発を進めるべきだった。
筆者は2008(平成20)年から2009年にかけて、環境省の予算による電動フルフラットバスの研究開発に関わり、普及に向けた動きが政策面でも広がる兆しを感じていた。しかしその後、新型コロナの影響やバス事業そのものの縮小により、国内メーカーも先行投資に踏み切りにくい状況に追い込まれ、開発の歩みは鈍った。
また、いすゞと共同研究を行ったが、量産型のエルガEVが市場に出てきたのは2025年になってからである。大学や研究段階での成果が先進的と評価されても、実際の生産と普及にはおおむね15年程度の時間がかかるのが自動車業界の現実である。こうした見通しについては政策側にも伝えてきたが、十分に共有されず、結果として海外調達が先に進む形となった。
構造を整理すると、バス事業の縮小によるメーカー側の技術開発の遅れと、政策支援の遅れが重なり、国産EVバスが十分に育たないまま海外勢が市場を広げる流れになったといえる。国内メーカーもハイブリッド車などで電動技術を高めてきた経緯があり、そこに対する国の支援が十分でなかった点は課題として指摘せざるを得ない。