社用車は不要になる? 6.7万台に拡大した「カーシェア網」、アルトバン撤退後に浮かぶ“持つか・借りるか”の選択圧
社用車は“所有”から“利用”へ。カーシェア拠点は2018年1.49万→2022年2万超、車両5.1万台・会員263万人へ拡大。固定資産の変動費化が企業の車両戦略を揺るがす。
資産保有の変動費化

社用車の代替手段として普及したカーシェアリングが、組織の枠を超えた社会インフラへと役割を広げている。長野県で行われている実証実験はその象徴だ。鉄道やバスといった公共交通が限られる地域において、移動の空白を埋める手段として期待が寄せられている。具体的には、企業や自治体が保有する約100台の車両を、業務外となる夜間や休日に限定して地域住民や観光客へ開放した。自社のみで完結していた資産を地域全体で共有するこの試みは、限られた資源の有効活用という観点から注目に値する。
こうした利用形態の広がりは、環境負荷の低減という側面からも合理性を持つ。自社で車両を保有し続ければ、走行距離に関わらず維持管理が必要だが、カーシェアリングであれば必要な局面でのみ稼働するため、不要な燃料消費や排出ガスの抑制に直結する。また、サービス運営主体は燃費性能に優れた車両や電気自動車(EV)を優先的に導入し、短期間で車両を更新する傾向にある。企業は多額の設備投資をともなわずに最新の環境性能を享受でき、結果として実効性のある環境貢献が可能となる。
将来的に強化される環境規制を見据えたとき、古い車両を長期保有し続けることは、経営上の大きな不確実性を抱えることと同義である。常に最新技術が反映される外部サービスを選択すれば、規制の変化に対して機敏に立ち回る余地を確保できる。ただし、カーシェアリングは長距離移動におけるコストの優位性や、予約が重なった際の確実性という面では制限が残る。維持費の抑制効果は無視できないが、すべての業務に適応できるとは限らないのが実情だ。自社の稼働実態を精査し、どのような状況で外部リソースを組み合わせるのが最適か、冷静な判断が求められている。