社用車は不要になる? 6.7万台に拡大した「カーシェア網」、アルトバン撤退後に浮かぶ“持つか・借りるか”の選択圧
社用車は“所有”から“利用”へ。カーシェア拠点は2018年1.49万→2022年2万超、車両5.1万台・会員263万人へ拡大。固定資産の変動費化が企業の車両戦略を揺るがす。
短時間利用への最適化

カーシェアリングの仕組みを社内インフラとして取り入れる動きが加速している。これは個人が資産を共有する流れを、法人組織の内部に応用した形といえる。代表的な例として、トヨタモビリティサービスが提供する「Booking Car」といった管理システムの導入が挙げられる。こうしたツールを活用することで、自社保有の車両をカーシェアと同様の利便性で運用することが可能になった。
従来の車両管理は、部署や拠点ごとに最適化されていた。そのため、組織全体で見れば稼働状況に偏りがあり、実際には不要な車両まで抱え続けてしまう構造的な課題が存在した。クラウドシステムによって全車両の利用状況を可視化すれば、部署の垣根を超えた車両の相互融通が現実のものとなる。保有台数を適正な水準まで削減しながら、必要な時に車が使えない事態を防ぐ。固定資産として停滞していた車両を、効率的に循環する経営資源へと転換する狙いがある。
また、社用車の用途はもはや業務時間内に限定されない。平日の夜間や休日といった非稼働時間を、社員の私的な利用に開放する企業が増えている。車両の維持コストを福利厚生の原資へと振り替えるこの手法は、資産の稼働率を極限まで高める効果を生む。投資したリソースを死蔵させず、多角的に活用して価値を引き出す姿勢は、これからの経営において合理的な判断基準となる。