社用車は不要になる? 6.7万台に拡大した「カーシェア網」、アルトバン撤退後に浮かぶ“持つか・借りるか”の選択圧
社用車は“所有”から“利用”へ。カーシェア拠点は2018年1.49万→2022年2万超、車両5.1万台・会員263万人へ拡大。固定資産の変動費化が企業の車両戦略を揺るがす。
260万人規模の利用拡大

企業の移動を支える車両のラインナップは、営業用の軽自動車から配送トラックまで多岐にわたる。これまでの日本企業は、一括購入によって調達コストを抑え、装備を最小限に留めた質素な商用車を運用することで経費を圧縮してきた。しかし、2021年末のスズキ・アルトバンの販売終了は、こうした低コスト路線のビジネスモデルが立ち行かなくなったことを象徴する出来事といえる。
背景には、安全基準の厳格化や運転支援システムの搭載義務化がある。車両の取得価格は上昇を続けており、もはや安価な道具として車を所有し続けることは難しくなった。経営側は現在、大きな資本を投じて自社で車両を抱え、技術的な陳腐化のリスクを自ら背負うのか、あるいはサービス事業者が管理する最新車両を必要な分だけ利用するのか、という岐路に立たされている。
こうした状況下で存在感を増しているのが、複数の会員で車両を共有するカーシェアリングだ。インターネットを通じて柔軟に予約でき、15分単位といった短時間の利用にも対応する。JAFの分析でも指摘されている通り、必要な局面で即座に活用できる機動性がこの仕組みの核心にある。数日単位の利用が前提となるレンタカーや、数年単位の契約を結ぶカーリースとは異なり、数分から数時間のピンポイントな利用において、月額費用と実走行分のみを支払うモデルは経済的な優位性が高い。