「日本を選ぶ理由がない」 週140便が消えた空路で何が起きているのか? アジアで進む国際ネットワークの再編と空港競争
訪日需要が戻る一方、燃料不足で週140便超が就航見送りに追い込まれた。SAF確保を巡る競争が激化する中、日本は供給の遅れとコスト高に直面し、路線縮小や拠点移転の動きも出始めている。空のネットワークから外れるリスクが現実味を帯びてきた。
拡大するSAF需要と国内生産の遅れ

SAFの市場は今後、かつてない規模で膨らんでいく。業界団体の試算によれば、2050年に「ネットゼロ」を成し遂げるには、現在の燃料供給量の1.5倍にのぼる4.5億kLのSAFが欠かせない。日本政府も2030年までに燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げたが、足元の国内商用生産はほぼゼロに等しいのが現実だ。
この空白を突き、アジアで抜きん出た存在となったのがシンガポールである。世界最大級の生産拠点をいち早く稼働させ、2026年からは出発便へのSAF使用を義務付ける。こうした強気な政策が、
「確実に燃料を確保できる場所」
という信頼を生み、環境対応を急ぐ欧米の航空会社を呼び寄せる呼び水となっている。
航空会社は、膨らみ続ける排出コストを抑えなければならない。必然的に、供給が安定し、価格の面でも有利な拠点へと路線の軸足を移していく。日本が生産体制の構築にもたついている間に、アジアの航空ネットワークの心臓部は、日本からシンガポールなどの他国へと移りつつある。それは、空の玄関口としての日本の地位が崩れている現状を物語っている。