「日本を選ぶ理由がない」 週140便が消えた空路で何が起きているのか? アジアで進む国際ネットワークの再編と空港競争

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訪日需要が戻る一方、燃料不足で週140便超が就航見送りに追い込まれた。SAF確保を巡る競争が激化する中、日本は供給の遅れとコスト高に直面し、路線縮小や拠点移転の動きも出始めている。空のネットワークから外れるリスクが現実味を帯びてきた。

燃料不足で止まる増便受け入れ

給油のイメージ(画像:Adobe Stock)
給油のイメージ(画像:Adobe Stock)

 空港が活気を取り戻したかに見える裏で、復活の足取りを鈍らせる深刻な事態が起きている。日本への増便を望む海外の航空会社に対し、空港側が「受け入れ不能」を告げるケースが相次いでいるのだ。

 問題の正体は、燃料の供給不足にある。特に次世代燃料であるSAFの調達難が影を落とす。2024年5月以降、全国15の空港で

「週140便」

を超える国際便の就航が見送られたとの試算もあり、影響は無視できない規模に広がっている。急激な需要回復に対し、製油所の現場を支える人手の不足や、物流の「2024年問題」によるトラック輸送の停滞が重なり、供給網が悲鳴を上げているのが実情だ。

 政府もようやく重い腰を上げた。官民タスクフォースを立ち上げ、緊急の行動計画をまとめるなど対策を急いでいる。しかし、一度ついた「インフラの脆弱さ」というイメージを拭うのは容易ではない。既存の燃料すらおぼつかない国が、より高度な管理を要するSAFを安定して供給できるのか。こうした不信感は、航空会社が日本を路線図から外す十分な動機になり得る。

 国際民間航空機関(ICAO)は、2024年以降の排出量を2019年比で85%以下に抑えるという厳しい目標を掲げている。2030年に向けた脱炭素への圧力は、もはや待ったなしだ。足元の物流停滞を解決できぬままでは、日本が世界の空のネットワークから取り残される日は、そう遠くないかもしれない。

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