「日本を選ぶ理由がない」 週140便が消えた空路で何が起きているのか? アジアで進む国際ネットワークの再編と空港競争

キーワード :
,
訪日需要が戻る一方、燃料不足で週140便超が就航見送りに追い込まれた。SAF確保を巡る競争が激化する中、日本は供給の遅れとコスト高に直面し、路線縮小や拠点移転の動きも出始めている。空のネットワークから外れるリスクが現実味を帯びてきた。

SAFの特性と排出削減効果

国際航空からのCO2排出量と削減手段のロードマップ(画像:2030年におけるSAFの供給目標量の在り方 - 経済産業省)
国際航空からのCO2排出量と削減手段のロードマップ(画像:2030年におけるSAFの供給目標量の在り方 – 経済産業省)

 航空業界が脱炭素という難題に挑むうえで、SAFは最も現実味のある手立てと目されている。主に植物や使い古した油を原料とするこの燃料は、燃焼時に二酸化炭素を出すものの、原料が育つ過程で吸収した分と相殺できるため、環境への負荷を抑えられる。製造から実際に使うまでの過程を通してみれば、従来の燃料と比べて排出量を最大80%も減らせるという。今のエンジンや給油の仕組みをそのまま使えるため、余計な設備投資を抑えられる点も大きな利点だ。

 大型機や長距離を飛ぶ路線では、電池や水素を動力源にするのはまだ難しい。それゆえ、2050年のカーボンニュートラル実現へ向け、SAFの活用は避けられない道となっている。国際的な排出規制が厳しさを増すなか、この燃料を十分に確保できるかどうかが、もはや路線を維持するための最低条件になりつつある。

 供給の体制が整わない空港に対し、航空会社が新しい機体を向かわせるのをためらうのは当然の流れだろう。SAFの不足は、せっかくの機材を動かせない事態を招き、経営の効率を削り取っていく。燃料を巡る格差が、そのまま空港の、ひいては地域の競争力を左右する時代が来ている。

全てのコメントを見る