「日本を選ぶ理由がない」 週140便が消えた空路で何が起きているのか? アジアで進む国際ネットワークの再編と空港競争

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訪日需要が戻る一方、燃料不足で週140便超が就航見送りに追い込まれた。SAF確保を巡る競争が激化する中、日本は供給の遅れとコスト高に直面し、路線縮小や拠点移転の動きも出始めている。空のネットワークから外れるリスクが現実味を帯びてきた。

高騰する製造コストと原料争奪

従来型ジェット燃料とSAFの価格差(プレミアム)を示すグラフ(画像:Evolution of alternative fuels for aviation - KPMG)
従来型ジェット燃料とSAFの価格差(プレミアム)を示すグラフ(画像:Evolution of alternative fuels for aviation – KPMG)

 普及の行く手を阻んでいるのは、跳ね上がる製造コストと、世界中で繰り広げられる原料の奪い合いだ。SAFの価格は従来の燃料の数倍、状況によっては10倍以上に達することもあり、航空会社の経営を激しく圧迫する。この価格差が埋まらなければ、航空会社は少しでも燃料の安い海外で給油を済ませ、日本での給油を極限まで絞るだろう。

 現在、主流となっている廃食油(UCO)を巡る争いは、すでに国境を越えている。日本国内では年間約40万tの事業系UCOが出るが、その3割にあたる12万t超が、より高い値を提示する欧州やシンガポールのメーカーへと流出しているのが現実だ。

 2025年度には、日揮ホールディングスやコスモ石油などによる国内初の大規模プラントが大阪府堺市で稼働する。だが、ここでも原料となるUCOの確保は世界規模の入札競争にさらされることになる。国内で十分に原料を集められず、SAFが高値止まりのまま推移すれば、石油元売り側は投資の回収すらおぼつかなくなり、供給を続けること自体が危うくなる。

 トウモロコシ由来のアルコールや都市ごみを活用する新たな技術開発も進んではいる。しかし、それらが安定した供給の柱として育つまでには、乗り越えるべき壁がまだいくつも残されている。

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