なぜホンダは“道路問題”に踏み込んだのか? 橋の6割が老朽化する時代、インフラ崩壊に抗う「最後の担い手」

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橋73万のうち6割が2032年に築50年超。補修が追いつかず、人手も足りない――日本の道路は転機にある。点検の限界を前に、走行データ活用や車側負担の拡大が進む中、インフラ維持と産業のあり方が問われている。

役割分担の変化

道路インフラの予防保全への転換。
道路インフラの予防保全への転換。

 リープモーターが披露した「浮くクルマ」という突拍子もない発想は、私たちが現に直面している道路インフラの課題を、皮肉にも鮮明に描き出した。すべての道をくまなく、常に良好な状態で保ち続ける。そんなかつての当たり前が難しさを増すなかで、公的な役割と車側が補うべき領域の境目は、いま大きく書き換えられようとしている。

 日本の道路を実際に浮かび上がらせる必要はない。だが、ひび割れや陥没の修繕が追いつかないという現実を前にすれば、路面の状態をデータとして的確に捉え、効率よく守っていく手法への転換は避けて通れない。行政の手にのみ委ねるのではなく、民間が日々積み上げる走行データをインフラの維持に注ぎ込む。そうした役割の分担を、根本から見直していく時期に来ているのではないだろうか。

 こうした変化にどれだけ柔軟に向き合えるかが、これからの競争力を左右することになるだろう。自動車メーカーは、単に車を売るだけの立場にはとどまれない。移動そのものの質を支える、いわば守り手としての役割も担い始めているのだ。移動を支える土台をどう守り抜くか。その視点を持つことこそが、次なる産業を支える確かな力となるはずだ。

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