「客はいる、仕事もある。でも会社が潰れる」――「タクシー廃業」が急増、102社退出を招いた“需要と利益の断絶”とは

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帝国データバンク調査で2025年度のタクシー退出は102社(休廃業66・倒産36)と過去最大。需要増の一方、増益33.4%にとどまり6割超が悪化し、採算悪化が鮮明になった。構造的な収益悪化が進む局面だ。

需要増と業績悪化の並行

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 2026年4月4日に発表された帝国データバンクの調査が、タクシー業界の常識を揺さぶる実態を浮き彫りにした。2025年度における事業者の市場退出は、かつてない規模に達している。休廃業や解散は66件と前年度の40件から1.6倍に膨らみ、倒産による36件を合わせると、102件もの事業者が市場から姿を消した。統計が始まった2000(平成12)年度以降、この数字が100の大台に乗ったのは初めてのことだ。

 奇妙なのは、市場そのものが冷え込んでいるわけではない点にある。むしろ現場の空気は逆だ。配車アプリが日常に溶け込み、インバウンドの波が各地に押し寄せている。観光地では高単価なサービスも動き出しており、利用者の姿は目に見えて増えた。しかし、企業の懐事情はそれとは裏腹に厳しい。2024年度の損益を見ると、増益に転じた企業はわずか

「33.4%」

で、残りの6割超は減益や赤字という重い現実に直面している。需要の波が来ているはずなのに、なぜか出口へ向かう事業者が後を絶たない。

 このねじれを解くカギは、需要と供給がうまく噛み合わなくなっている現状にある。配車アプリによって、それまで街のなかに散らばっていた「乗りたい」という声が、はっきりとしたデータとして可視化されるようになった。だが、供給力が追いつかない事業者にとっては、この可視化が皮肉な結果を招く。目の前に確実にある注文をさばききれず、せっかくの商機を指をくわえて見送る場面が増えたのだ。

 こうした機会損失がじわりと積み重なり、車両を維持する固定費が経営の肩に重くのしかかっている。

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