「技術の魂を取り戻せ」 ホンダ、最大2.5兆円損失からの復活劇? 過剰なEV戦略を乗り越え「三現主義」の再生なるか
ホンダが上場以来最大となる6900億円の最終赤字に直面。累計2.5兆円規模の損失処理は、EV戦略の揺らぎと組織の歪みを直視し、ものづくり回帰を迫る転機となる。
実力主義回帰と成長見通し

2.5兆円もの巨額損失を確定させ、組織に積み重なった歪みをすべて吐き出した。その先に見据えるのは、地力に根ざしたものづくりへと立ち返ったホンダの姿だ。5年後の2031年には、北米でのHVの販売強化に加え、インドでの「エレベイト(日本名:WR-V)」を足がかりとした立て直しが、営業キャッシュフローの改善を支えるはずだ。ソニー・ホンダモビリティとの協業で得た知恵は、量産車にも注ぎ込まれ、新たな移動の仕組みが形を成し始めるだろう。
さらに10年後の2036年。そこでは、エンジン、ハイブリッド、そしてEVを、現場の実情に合わせて使い分ける柔軟な姿勢が実を結んでいるに違いない。入交氏が重んじた「技術の思想」は組織の隅々まで行き渡り、もはや2040年という期限ありきの方針に振り回されることはない。客観的な顧客の求めに応じ続けた結果として、環境への対応が自然と進んでいく。特定の動力源に執着せず、物の仕組みを根本から見直す考え方は、ソフトや電池といった新たな領域でも実りをもたらすだろう。
今回の6900億円にのぼる最終赤字。これを組織が衰える予兆と捉えるか、あるいは本来の姿を取り戻すための必要な痛みと見るか。その成否は、今後のインド市場での具体的な立て直し策と、何より研究所がどこまで独立性を守り抜けるかにかかっている。入交氏が
「技術に限界はない。解答は必ず存在する」
と断じたように、不透明な時代だからこそ、現場の事実に根ざした技術力を頼みの綱とするべきだろう。この揺るぎない構えこそが、2.5兆円という重荷を背負ったホンダが、再び力を取り戻すための土台となるのだ。