「技術の魂を取り戻せ」 ホンダ、最大2.5兆円損失からの復活劇? 過剰なEV戦略を乗り越え「三現主義」の再生なるか

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ホンダが上場以来最大となる6900億円の最終赤字に直面。累計2.5兆円規模の損失処理は、EV戦略の揺らぎと組織の歪みを直視し、ものづくり回帰を迫る転機となる。

北米依存の販売構造

2026年3月26日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電動車(xEV)販売台数及びシェアの推移(画像:マークラインズ)
2026年3月26日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電動車(xEV)販売台数及びシェアの推移(画像:マークラインズ)

 この苦境の理由を、EV市場の伸び悩みといった外部環境の変化に求める声は多い。だが、実情はもっと内側にあったのではないか。北米市場への過度な依存、そして現場の知見を軽んじた組織運営のゆがみが、影を落としている。

 ホンダの四輪世界販売台数は、2019年の518万台から2025年には352万台へと32%も減り、特定の地域に収益を頼る危うさを露呈した。足元の国内市場も厳しい。販売の4割から5割が、利幅の薄い軽自動車や小型車に偏っているのだ。2025年度の新車販売ではスズキに追い抜かれ、記録が残る1993(平成5)年度以降で初めて3位へ転落した。商品力が目に見えて衰え、稼げるモデルを世に送り出し続けられない組織の弱さが、数字に表れている。

 組織のあり方も裏目に出た。2020年に本田技術研究所の開発機能を本社へと統合した判断は、結果として

「ホンダらしさ」

を削ぎ落とすことになった。効率を追い求めたこの仕組みは、かつて同社を支えた多様な視点を奪い、現場の技術的な事実よりも、組織の都合がまかり通る空気を生んでしまった。

 その綻びは、アジア市場にも色濃い。インドでのシェアはわずか1.5%、年間販売台数は6.6万台にとどまる。一方でスズキは約40%のシェア、年間170万台規模を維持し続けている。現地の求めに応える車種を、適切な時期に届けられなかったツケは大きい。北米でのEVシフトに目を奪われるあまり、アジアという成長著しい市場の現実に、目を背けていた面は否めない。

 開発機能を再び研究所へと戻すという今回の決断。それは、効率を優先するあまり現場の力を弱めてきたこれまでの歩みが、行き詰まりを見せたことを自ら認める対応といえるだろう。

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