「技術の魂を取り戻せ」 ホンダ、最大2.5兆円損失からの復活劇? 過剰なEV戦略を乗り越え「三現主義」の再生なるか
ホンダが上場以来最大となる6900億円の最終赤字に直面。累計2.5兆円規模の損失処理は、EV戦略の揺らぎと組織の歪みを直視し、ものづくり回帰を迫る転機となる。
2.5兆円損失と組織の見直し

2.5兆円という巨額の損失は、見通しの甘さを穴埋めするための“勉強代”で終わらせてはならない。創業者から引き継がれた
「三現主義」
を呼び戻すために避けては通れない、組織にこびりついた澱を洗い流す過程と見るべきだ。
組織のあり方については、開発の主導権を再び研究所へと移し、複数の案を競わせるかつての流儀を呼び覚ます。本社は財布の紐と全体の目配りに徹し、研究所はひたすら技術の真理を追う役割を担う。効率という物差しだけで測る組織から、技術者たちの意地がぶつかり合う場へと、その姿を戻していく。
稼ぎの面では、北米のEV需要にのめり込んだこれまでの形を改める。人口の重みが違うインドやアジアを成長の軸に据え、EV一辺倒ではない、ハイブリッド車(HV)も含めた多様な動力で収益の土台を固め直す。
技術についても、「脱エンジン」という旗印に縛られるのをやめる。かつて低公害エンジンを世に送り出したときに磨き上げた、物事の根っこから良くしていく姿勢を、ソフトや新しい移動の形にも広げていく。理想を掲げる前に、まず現場で見極めた事実。その確かな技術力を、経営の揺るぎない土台とする。