BYD世界6位で露呈したEV競争の転換点――なぜ「車の出来」では勝敗が決まらなくなったのか?
EV競争は車の出来から、電力・ソフト・データを含む利用環境へ移った。中国は2700万台で首位、BYDが台頭。購入検討は約2週間へ短縮し、42%がEV志向。勝敗は車外の価値で決まる。
データ蓄積の競争構造

EVは、充電設備と電力の運用、車載の基本ソフト、アプリの土台、走行支援や運転時の各種状況など、多くの情報を生み出す存在となっている。デジタル技術との相性が高いためである。
開発の過程で長く課題とされてきたのが、残りの電気量から走れる距離を見積もる技術だ。一般的には、多くの車から残量と走り方の関係を集め、大量のデータとして蓄積し、AIで分析して利用者に精度の高い数値を返す方法が有力とされてきた。利用者が増えるほどデータは厚みを増し、見積もりの精度も上がる。
こうして、利用者の増加が価値の向上を生み、さらに利用者を呼び込む流れが生まれる。充電の時期や各種の運転支援でも同じ構図が成り立つ。EVは、多くの情報を抱えた存在として捉える必要がある。
BYDは1995年に電池メーカーとして中国で創業し、2003年に電動車市場へ参入した。EVへの取り組みも早い。同社の伸びを見れば、この分野では後から入るほど不利になりやすいことがわかる。早くから取り組めば、データを集める期間と量を増やせるうえ、利用者への還元の手法も磨かれる。先に動いた企業が優位に立ちやすい市場である。